ドローイン

お腹を体の内側にへこませる

ドローインとは、訳すると「引き込む」ことを意味し、トレーニングおいては、お腹を体の内側にへこませる動作のことを指します。

ドローインの目的は、お腹周りが気になる人や姿勢を整えたい人、スポーツにおいては動作の安定性を高め、スポーツパーフォーマンスのアップを図るなど様々な場面でトレーニングの効果を得ることができます。



ドローインのやり方と組み合わせ種目動画

なぜ、お腹を引っ込めると体幹トレーニングになるのか?

それは、腹部の深層筋である「腹横筋」(※)の役割にあります。
(※)内腹斜筋の下に位置し、腹部をコルセットのように取り巻く筋肉

腹横筋は、呼気を補助する呼吸筋の役割と腹圧を高めて体幹を安定・固定させる役割があります。
この後者の役割に着目し、正しい姿勢やスポーツパフォーマンスのアップを目指すのがドローインの役割のひとつなのです。

ドローインは体幹を固定し、腹横筋を強化するトレーニングではない

ただし、ドローインを継続的に行ったからといって、腹横筋が大きく強化されることは期待できません。
筋肉は大きな負荷をかけて鍛えることで成長しますが、ドローインでは腹横筋に大きな負荷をかけることができないのです。

ドローインは、意識しにくい腹横筋を意識できるようにしたり(うまく使えるようにしたり)、あるいは前に突き出たお腹を意識しなくてもある程度引き込めるようにするためのトレーニングであると考えて下さい。

なぜなら、強く腹横筋が働くのは腹部に力を込めて体幹を固定した時で、お腹をへこました時ではないからです。(せきやくしゃみみの時も大きな刺激が加わります)

お腹をへこました時は、逆に腹筋群や背筋群の働きが弱くなっていまうのです。

つまり、ドローインは、腹横筋を意識できるようになったり、使えるようになるためのトレーニングであり、その結果、体幹トレーニング(ドローイン以外)の効果を最大限に高めるトレーニングだと言えます。

ドローイン自体が体幹を固定し、腹横筋を強化するトレーニングではないことを理解してください。

ちなみに腹横筋を直接的に強化するには、体幹強化に特化したトレーニングや通常の筋トレを行った方が効果的です。

例えば、スクワットでは腹圧を高めた状態を保持して動作する必要があるため腹横筋を総動員しなければなりません。
(腹横筋を使わず、お腹の力を抜いた状態では体幹がぐらつき正しい動作を確保できませんし、最悪の場合、腰にダメージを負ってしまいます)

ベンチプレスの場合もそうです。
特にバーベルを上げる動作の時は、腹圧を高め体幹を固定しないと高重量を扱うことができません。

腹横筋を意識して体幹トレーニングを行う

そこで、今回の特集では(下記リンク参照)、まずドローインのやり方を解説し、次にドローインと体幹強化を組み合わせた種目をご紹介します。

ドローインで腹横筋を意識して使えるようになると同時に腹横筋・腹直筋・腹斜筋・脊柱起立筋などの体幹強化を目指します。

ただし、どんな種目にもドローインを取り入れても良いかというとそうではありません。

スクワットやデッドリフトのように体幹の固定が動作の保持・安定に関わるトレーニングではドローインをしながらトレーニングしてはいけません。
実は、ドローインのようにお腹をへこます動作は、腹筋群や背筋群の力が十分に発揮されず、体幹の不安定状態をもたらします。
そのため、腹圧を高めて体幹を固定して行う高重量トレーニングでは、タブーとなりますので注意しましょう。

今回は、体幹トレーニングの種目に特化することで、ドローインを行った状態で動作したり、体勢を保持させることで体幹も強化させようとするトレーニングです。
腹圧を高めた状態(お腹に力を込めた状態)で行う体幹トレーニングよりも動作や体勢を保持することが一層難しくなります。

ドローインなしの通常の体幹トレーニングも日替わりで取り入れ、あらゆる側面から筋肉に刺激を加えることで、日常生活のみならず、スポーツパフォーマンスのアップにより貢献することになるでしょう。

一部参考文献 : 筋トレまるわかり大辞典