一生懸命筋トレをしているのに一向に効果が出ない。そういった声がよく聞かれます。なぜ効果が出ないのか?方法が違っていることも一つの理由としてありますが、「やり過ぎ」も効果が出ない要因の一つとして認識しておかなければなりません。ここではオーバーワークを軸に成果を上げるための考え方をお話しします。 



自分の体と向き合いオーバーワークを防ごう

近年、部活動の世界で筋トレ、体づくりの有効性が見直されてきていることについては非常に好感を覚えています。

ところが、コンディショニングという視点から考えると筋トレの内容であったり、あるいはトレーニング効果を引き出すための運動プログラムの作り方、こういったところにおいてはもっともっと研究を深めて、その英知というものを学校やスポーツの現場にも届けていく必要があると強く感じています。

なぜ、筋トレ効果が出ないのか?

下記は、テニスをやっていた大学一年生の男子学生のレポートです。

高校2年時、身体を大きくしたいと思い、週に2回くらいのペースで部活後にジムに通い始めた。元々筋力トレーニングに興味があり、このメニューがどこの部位を強化するかなど、ある程度理解していた。サプリメントも同時に摂取していて、良いリズムでトレーニングできていたつもりになっていた。しかし、3~4ヶ月経過しても明らかな見た目の変化は無かった。その後部活を引退してからもジムには通い続けた。すると引退してからのトレーニング生活はすぐに効果が出てきた。(テニス)



この学生の場合、部活プラスαの部分は自主的にトレーニングをやっているわけです。一般的な課外活動というところで部活動の中で特に施設があるようなところはそうですが、部活動の練習が終わって、その後に強化トレーニングということでさらに体を追い込むということをやっています。

これは実はほとんどの生徒さんにとってはオーバーワークを引き起こす最大の要因になっています。

つまり、やればやった分だけ効果がある、よそのチームよりもたくさんやったら負けるはずがない、僕はこれだけやったんだから強くなれる。ある部分ではたしかにそのような要素が必要になってきますが、かなり幻想的な部分がそこには含まれています。

どういうことかというと、我々の体は全体で100%なわけですから120%、130%のことをやってしまうと、当然のとこながらオーバーワークになって体は悲鳴を上げてしまうわけです。その悲鳴を上げた状況というのは体にとっては危機的な状態なので反応ができなくなってしまうという危険性が出てきます。

つまり、一日が24時間しかないために回復に必要な時間とか質を確保できなくなってしまうことになります。

適切な運動量を考えよう

この学生の場合は高校生の時にジムに通ってきたということですが、高校2年生というのは筋トレをやってかなり運動の効果が出てくるような第二次成長の時期にあたります。

適切にウエイトトレーニング、筋トレを取り入れることによって体つきをガッチリさせて、そして筋力を上げて、専門的なスポーツ練習と並行して行うことによって競技パフォーマンスを高めることも十分にできるようになります。

ベストなタイミングで初めて、しかも週に二回くらい行い、その状態でさらにサプリメントも同時に摂取していたにも関わらず3~4ヶ月経ったのにほとんど体の変化が無かったということです。

これが、ジムを経営したり、パーソナルトレーニングを行っている私(森部先生)の立場からすると考えられないくらいの事例です。

どういうことかというと、当ジムでトレーニングをやっている方たちは、まず例外なく劇的に変わるような段階というのが3ヶ月目には出てしまっているからです。

体つきが変わるだけでなく、競技パフォーマンスも変わりますので、そこで調子に乗って、特に高校2年生くらいだったら進学を具体的に体育やスポーツ専門でいこうかなと考えるくらい劇的に変わってしまうような時期に当たります。

それなのにどうして結果が出なかったのかというと、おそらくテニスの練習がかなりハードで、厳しい練習をやっていた上にトレーニングを追加したのではないかなということが、レポートの最後に現れています。

引退してテニスの練習が無くなったことによってトレーニング成果がすぐに出てきたのではないかと思われます。

このトレーニング成果は筋肉が発達し、強くなったことを意味していると思いますが、オーバーワークから解放されることによって週に二回くらいの運動が適切になってきたと理解していただいてよいと思います。

体づくりに適切な運動量とは?

筋トレTVをご覧になっている皆さまは部活動、あるいは専門的な競技スポーツというものを現在はやっておられず、自分の体づくりを目的にやっている方も多いと思います。

そのような方の場合、ではどのくらいが適切な運動なのかということを考えたときに別に週に二回だとか、一日置きということは一切考える必要はありません。

運動の習慣化ということが何よりも重要ですので、基本的に毎日やることをオススメしています。

毎日やったらオーバーワークになるんじゃないの?やり過ぎはダメだよ、体は休んでいるときにしか回復しないし、発達しないんだから、と言われる方も多いのですが、そのようなことはほとんどの方にはまず必要ありません。

相当なレベルで追い込めてトレーニングそのものを一時間も二時間も出来るような、本当にタフで非常に強い力をお持ちの方であれば十分にトレーニングをやって、十分に休養し、それで回復させてトレーニングをするというリズムで構いません。

しかし、ほとんどの方々はそこまで追い込むことができません。そこまでする時間の確保も非常に難しいです。

それであるならば、短時間でも構いませんので毎日やった方が良いと言えます。

具体的には体の部位を首、胸、肩、腹部、背中、そして腕と脚ということで分割してトレーニングすることをおすすめしています。

これだけ分割して筋トレを行うと、極端なはなし毎日一部位やるだけでもトレーニング効果が上がってきますし、それで物足りないという自覚があった場合のみ複数個所をその日に一緒にやればいいわけです。

トレーニングは、至適な強度というのがありますので、やり過ぎず、やらな過ぎず、こういった事を自身の今の体力、その日のコンディションに応じて加減をしていくというところが非常に頭を使うところになります。

トレーニング、体作りというのは、賢くなければ成功することができません。ぜひ、自分の体としっかりと向き合って、トレーニングの記録を残し、微調整をやりながら自分なりのトレーニング計画を立てていただきたいと思います。

決してオーバーワークに陥らないようにするということ、これをしっかりと覚えておいて皆さんの体づくり、そして体力向上に努めていただきたいと思います。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長