ダイエットや健康づくりのためにランニングやジョギング、そしてウォーキングなどをやっている人は多いと思います。健康づくりについては効果の大小はあっても運動が大切な取り組みであることはたしかです。しかし、ダイエットや引き締めについては少し様子が違います。正しい知識と方法を身に着けて効果を最大限に引き出しましょう。 



ランニング・ジョギングとウォーキングの違い

ダイエットにランニングやジョギングは必要なのかという質問を頂きましたので、これについてお答えさせていただきます。

ここではダイエットの定義として、体重を減らしたり、体を引き締めることに限定して言わせていただきます。その場合は、ランニングやジョギング、ウォーキングはダイエットに有効に働くことは間違いないと考えています。

どうしてそのようなことを言えるかといいますと、これは現実に考えていただければ分かるのですが、例えばランニングやジョギングの習慣を持っている人、継続的に走っているような人で太っている人というのはほとんど存在しないということです。

ウォーキングの場合は少し違っていまして、ずっと歩いているのに全然体重が減らないという人も実際に存在します。

私(森部先生)の場合は、ウォーキングをするくらいだったらジョギングの方がいいですよと、ジョギングで物足りないようだったらランニングの方がいいですよと指導するようにしています。 

ランニングやジョギングのダイエット効果

具体的な違いはどこにあるのかというと、ランニングやジョギングの場合は両足が同時に宙に浮いているシーンというのがあります。ウォーキングの場合は、必ずどちらかの足が地面に着いた状態になっていて、ここにインパクトの大きさというものについて決定的な違いがあるわけです。

ランニングやジョギングは、必ず体重を移動させるときに基本的にはつま先から指を着いていることになります。

ところが、靴を履いている我々現代人はウォーキングをやっている最中にはほとんど、おそらく99%くらいの方はかかとから着地をしています。

これは以前もお話ししましたが、かかとから踏み込んでいく歩き方は動物としておかしいという話をしたことがあります。

ランニングやジョギングは、体力が付いてくると自然とスピードが少しずつ上がってきたり、あるいは距離が延長されていく、当然ながら運動をしている時間も長くなっていくということが普通に置きます。

そのときには自分の体が進行方向、体重を移動する方向に対して負荷となっていますので、自分の体重が邪魔になるわけです。

そのような中、繰り返し同じことをやっていると邪魔なもの(体脂肪など)をどんどん捨てていって動きそのものに適応した体を作っていきますので、自然に体が引き締まってくる。この点からランニングやジョギングをすることによって体を引き締められて、シルエットを細くすることが可能になるということは理解いただけると思います。これは自分の体重が負荷になっている典型的なパターンにあります。

他の事例で言えば、例えば懸垂だとか、あるいはスクワット腕立て伏せ、このような筋トレで重いベルトを巻く、重いベスト着る、あるいはおもりを担ぐとか、こういった事をしない限り自分の体重、自体重だけで懸垂を繰り返したり、腕立て伏せをやったり、スクワットをするということをいくらやっても体重が大きく増えるということは基本的にありません。

これは自分の体重が負荷になっているので、自分の体重を減らした方が運動がスムーズに起きるようになるからです。ですから、体が適応して余分なものを落としていくことになります。

ところが、重りをコントロールして行うウエイトトレーニングの場合は、おもりが抵抗になっていますので、抵抗に対して自分の体が大きい方が運動が楽にできるようになります。だから、適応の反応として筋肉を大きく発達させて運動を楽にしていくということ起きているわけです。

こうしたことはテキストの中には書かれていませんが、冷静に考えていただければ身の回りで起きている現象で確認ができるはずです。

ウォーキングのダイエット効果

では、ウォーキングのダイエット効果はについてどうでしょう。これについては、ほとんど効果がないと考えています。

詳しいことはのちほど説明しますが、まずはなぜウォーキングがダイエットにほとんど効果がないと考えているのかというと、歩くことをずっと繰り返して行っていると歩くこと自体に慣れてしまいます。

そして、歩くことというのは、明らかにランニングやジョギングに比べてスピードが遅いわけですね。

スピードが遅いからウォーキングなわけなんですが、そのウォーキングの範疇の中で繰り返し歩を進めて歩きが上手になっていったら、できるだけそれを合理的に行うためにエネルギーをほとんど使わないような非常に理にかなったウォーキングの手法をマスターしてしまいます。そうするといくら歩いたところでエネルギーの消費が抑えられるわけです。

典型的なパターンで言うと、自分が歩くときに足から歩くのではなく、体を前に倒して、倒した結果バランスを取るために足が出てしまう、この流れで歩いていくとほとんどエネルギーを消費することなく延々歩き続けることが可能になってきます。

これは、位置エネルギーが一部運動エネルギーに変わっているというだけであって、現象の前後でエネルギーの総量というのはほとんど変化ないということです。

ですから、もしあなたが何か運動を追加して体を引き締めるという意味でのダイエットを行いたいというのであれば、膝関節や股関節、足首、こういったところの関節に異常がない前提で、ランニングやジョギングをする筋力がある方の場合は、間違いなくランニングやジョギングをやった方が絶対に体重を減らすことができますし、それに伴って、体を引き締めることも可能になります。

ウォーキングの場合は、いくらやったところでほとんど変化がありませんので、まずは筋トレをやって筋肉を強くして関節を守れるような準備ができたら、ウォーキングではなく、ランニングやジョギングに入っていった方が、時間の節約にもなりますし、効果が出ることで長続きしやすくなります。

結論をまとめますと、ダイエットのためにランニングやジョギングは必要だけれどもウォーキングに関してはそれほどのメリットはないと言えます。

どうしてもウォーキングでダイエットしたい場合

もし、どうしてもウォーキングがいいと、ウォーキングで結果を出したいというのであれば少し特殊な事例にはなりますが、まずは筋トレで筋肉を強化する。膝関節や股関節、足首回りを強くした状態で歩きはじめるということが一つ。

そして、歩くことが上手になってきたら思うようなエネルギーの消費が起きませんので、そこからは比較的軽めの重量入れたリュックをからうとか、手首や足首におもりを着ける方法が考えられます。

ただ、末端が重くなるとかなり関節に負担がかかりますのであまり勧めたくはありませんが、どうしてもウォーキングによってエネルギーを消費して体重を減らしたいとか、体を引き締めたいと考える場合は、このような方法しかないと理解していただければと思います。

もし、おもりを装着してでも長距離、有酸素系の運動をやりたいという場合でなければ、間違いなくランニングやジョギングをやった方が効果がありますので、ぜひそれをやっていただければと思います。

有酸素運動と筋肉

ちなみに筋肉を大きくして体を発達させたいというようなボディビルとかをやっているような人は、一旦オフシーズンでかなりバルクアップして筋肉を大きくしますが、彼らの場合はかなり体を鍛えていますので関節も丈夫です。

こうした方々の場合は、トレーニングがオフのときは有酸素運動で軽いジョギングなどをやってしっかりと汗をかいていきながら、その中で体脂肪をどんどん燃焼させて体を引き締めるといった方法で取り組んでいる選手の方々が多くいます。

このようにボディビルをやっているような方々ですらランニングやジョギングの量を増やし過ぎてしまうと、筋肉が予定以上に落ちてしまったりするので、そのあたりの見極めはしっかりとやっています。

ですから、長時間、長距離、体重を移動させる、もしくは体重を移動させなくてもトレッドミル(ランニングマシン)を使ったり、エアロバイクを使って有酸素系の運動をするような場合は、体重は減る、体は引き締まるんだけれども、むやみやたらにやってしますと筋肉も落ちてしまうということもしっかりと理解しておく必要があります。

折角作った筋肉はできるだけ落とさないようなコンディショニングというものをマスターしていただければと思います。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長