ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)は、スポーツや運動(筋トレを含む)前のウォームアップとして怪我の予防やパフォーマンスアップに有効です。血流改善を軸としたコリの改善、冷えの改善などにも効果的です。


筋トレ理論一覧

目次

ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)とは?

ダイナミックストレッチは静的ストレッチとも呼ばれ、大きな動作を行うことで筋肉を伸ばし、関節可動域を広げます。

スタティックストレッチは伸ばしたら保持するのに対し、ダイナミックストレッチは動きを伴うことで伸ばしていきます。

相反性抑制(相反性神経支配)という主働筋を収縮させることで、その逆側の筋肉は弛緩する作用を利用したストレッチで、主にウォームアップとして用いられます。

スポーツでは、筋温・体温の上昇を高めたり、競技動作に近い動き(競技に特異的な動作)を行うことで関節可動域の拡大を図り、怪我の予防や競技動作をスムーズにしたり、パフォーマンスアップすることを目的とします。

筋トレでは、ウォームアップセットがダイナミックストレッチの代わりになりますので、ダイナミックストレッチを別途実施することはあまりありません。可能であれば取り入れるくらいの気持ちで大丈夫です。

もっとも、実施する筋トレ種目で使う筋肉の温めが足りないような時、関節の動きが気になる時、入念にストレッチしておきたい場合などは、ウォームアップとして取り入れることは有益な取り組みになります。

スポーツ前、筋トレ前のいずれにおいても、怪我の予防とパフォーマンスアップは、ダイナミックストレッチの共通した有効性であると言えます。

なお、ダイナミックストレッチとバリスティックストレッチは混同されやすいですが、厳密には別のストレッチになります。

前者は相反性抑制の作用を利用し、後者は反動を使って伸張反射を誘発することでストレッチングします。

ただ、スポーツの現場では明確に定義されていません。
つまり、”動的”かそうでないかを基準として、動的であるダイナミックストレッチとバリスティックストレッチをまとめて動的ストレッチ、またはダイナミックストレッチとして表現されます。

ダイナミックストレッチの方法

ダイナミックストレッチは、可動域をしっかり使い動作させることがポイントです。

筋肉の伸びを感じながら実施することを基本として、一つ一つの動作が疎かにならないように注意しましょう。

また、筋トレに近いものもありますが、あくまでストレッチなので疲労が強くなり過ぎないように注意する必要があります。きつい場合は、別の種目に変更することも必要になるでしょう。

回数は、ストレッチの種目によって変わりますが、少なくとも5回(左右の場合は各5回)、多くて20回程度行います。
夏は5~10回程度、冬は筋肉が冷えて筋温が高まりにくいので、できれば10~20回程度実施するとよいでしょう。

種目によって違いますがが、回数ではなく距離を決めて行うこともできます。
例えば、目印となる木や構造物を目標に、そこまで到達したら完了としたり、狭いところだったら壁から壁までを2往復して完了としたりすることもできます。

ダイナミックストレッチ一覧>>

ダイナミックストレッチの具体的方法

下記動画で実演している股関節周辺のダイナミックストレッチを例に具体的方法を説明します。
股関節周辺の筋肉を伸ばし、筋温を高めることを目的としたストレッチになります。

まずは動画ご覧ください。

【股関節周辺のダイナミックストレッチ】



このダイナミックストレッチは、後ろに進みながら脚を上げて回す動作をします。
ポイントとしては股関節の可動域を十分に使うことです。

脚を前にしっかりと上げ、上げきったところから後ろに脚を回します。

後ろに回した時もしっかりと回し切るようにしますが、体は正面を向いた姿勢を保つようにします。
脚につられて体が一緒に傾いてしまうと、股関節を十分にストレッチできませんので注意して下さい。

股関節のストレッチであることを意識して行うことが大切です。

また、動作中は手を上げておくようにしましょう。
ストレッチ自体には関係ないのですが、手を下ろしたまま動作すると脚を回す時に手が邪魔になって回しにくくなります。

回数は、左右各5~10回ずつ行ってみましょう。

動画では狭い場所で行っていますので往復を繰り返していますが、広い場所であれば往復せずに、そのまま真っ直ぐ下がっていく形で実施する方がよいでしょう。

ダイナミックストレッチの実施タイミング

ダイナミックストレッチは、筋温も高められますが、可動域の拡大という基礎をなすストレッチの目的があります。

そのため、ウォーキングやジョギングなどで体を温めてから実施するのがよいでしょう。

例えば、ジョギング ⇒ ダイナミックストレッチ ⇒ スタティックストレッチの順番となります。
ダイナミックストレッチとスタティックストレッチは、順番を入れ替えても大丈夫です。

また、ダイナミックストレッチは気分も高揚させますので、リフレッシュしたいときや眠気を覚ましたいときなどにも活用することができます。

ダイナミックストレッチの効果

筋トレ前にもストレッチは必要?種類と効果について」でも効果を取り上げましたが、ここではダイナミックストレッチ特有の効果について、細分化し説明したいと思います。

スポーツ・筋トレにおける効果

  • 筋温アップ
    動作を滑らかにして、怪我の予防とスムーズな動作へ導きます。
  • 関節可動域アップ
    関節可動域を適切に確保しておくことはスポーツや筋トレの実施において怪我の予防やパフォーマンスのアップにつながります。
    筋トレでは動作の過程を通じて正確かつ的確なフォームが確保され、効果アップにつながります。
  • 神経系の働きの向上
    筋肉の連動性が高められることでパフォーマンスアップにつながります。
  • 身体の違和感の発見
    日常の動作では気づかない筋肉や関節の状態を確認することができます。
    違和感を発見した場合は、スポーツにおいては指導者へ助言を求めたり、筋トレの場合はメニューや強度を変更したり、休養を設けることで怪我を未然に防ぐことにつながります。あるいはマッサージや筋膜リリース、整体などで、その部分の改善を図ることで身体のケアを施すことができます。

一般的な効果

  • 筋肉の張りやコリを改善・軽減(血流改善・老廃物の除去)
    不調の原因は血液の滞りから起こることが少なくありません。
    ダイナミックストレッチで血流と老廃物の除去を促すことで、不調の原因を取り除くことにつながります。
  • ストレッチ後の代謝アップ(カロリー消費・血流改善)
    ダイナミックストレッチは、動的に体を動かすため動作中も幾分かのカロリーが消費されますが、ストレッチ後も筋温の高まりと相まって代謝が上がった状態がしばらく続きます。
  • リフレッシュ・眠気解消(気分高揚)
    適度な動作により気分が高揚し、調子が乗らない時のリフレッシュや眠気解消に有効です。
  • 冷えの改善(血流改善)
    動作によって筋肉が温まることと、血流が促されることで(血液は熱も運ぶため)、冷えの改善に役立ちます。

おわりに

ストレッチは怪我の予防やパフォーマンスアップなどの大切な準備運動です。

面倒な部分もあり、できればやりたくない、てっとり早く済ませたいと思うのが人の心であります。
ただ、そのようなことではスポーツ、運動において、その後のパフォーマンスや効果に大きな差が生まれることになります。

そして、怪我をしてしまったらあとの祭りです。スポーツで良い成績を上げたり、楽しむこともできくなくなってしまいます。
ストレッチを含めて運動、スポーツであることを、ぜひとも意識して下さい。

また、日常生活でも上記のような効果がありますので、目的に応じて実施してみて下さい。
定期的に行うことができれば、心身ともにとても良い習慣となることでしょう。