ストレッチの重要性は軽視されがちですが、それにより得られる効果は見過ごせません。ここではストレッチの種類とそれぞれの概要、そして筋トレにおけるストレッチの効果など動画講座の内容をさらに深めて学んでいきたいと思います。実演動画はこちら(スタティックストレッチ)


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目次

ストレッチとは

ストレッチとは、柔軟性を改善させることで、関節可動域を広げ全身をスムーズに動かせるようにしたり、怪我を予防したり、あるいは運動後の疲労回復や身体の状態確認に用いられるものです。

ストレッチには、いろいろな方法がありますが共通するのは、「筋肉や腱を伸ばす」こと。

主に筋肉が伸びるわけですが、その結果、柔軟性が向上することになります。

柔軟性が向上することで、日常の動作がスムーズになったり、スポーツのパフォーマンスが向上したり、身体活動にいろいろな効果がもたらされます。

ストレッチの種類

ストレッチには、主なものにスタティックストレッチ、ダイナミックストレッチ、バリスティックストレッチ、アクティブストレッチ、PNFストレッチなどがあります。

より詳しい解説は別のページで個別に解説していきます。ここでは概要を学んでいきましょう。

スタティックストレッチ

もっともポピュラーなのが、「スタティックストレッチ」です。
静的ストレッチとも呼ばれ、伸ばしたい筋肉を伸張反射(※)が起きないようにゆっくりと伸ばし、イタ気持ちいいところで一定の時間保持して、意識的に伸ばす方法です。
ストレッチ聞くと、真っ先にイメージするストレッチで、ほとんどの人がやったことのあるではないでしょうか。
(※)筋肉が過度に伸ばされて損傷しないように(保護するために)筋収縮が自動的に起こる反射運動

筋トレにおいてスタティックストレッチは、筋トレ前後に行うのが一般的です。

トレーニング前はウォームアップの一環として実施すると同時に、違和感のある箇所はないか状態を確かめたり、筋肉痛の回復具合を確かめたり、体の現状把握に役立てることができます。

トレーニング後は、クールダウンとして使った筋肉を中心に状態を確認すると同時に疲労回復を目的として実施します。

筋トレ前にストレッチはやってもいいの?

筋トレ前のスタティックストレッチにおいては、近年の研究で最大筋力やパワー発揮の面でパフォーマンスの低下につながることが報告されています。

ただし、パフォーマンス低下が報告されているのは、30秒以上行うような入念なストレッチを行った場合です。
30秒以内のストレッチでは、パフォーマンスの低下につながるといったマイナス結果は出ていないとされています。

むしろ、筋肉の張りや痛みなどコンディションの確認や可動域の適度な拡大が可能となり、怪我の予防、スムーズな筋トレ動作に有効となります。

このことから、筋トレ前のストレッチはひとつの部位に対し20~30秒以内とし、筋トレする部位を中心に1セット実施するようにします。
ジョギングやダイナミックストレッチと組み合わせるとウォームアップとして有効です。

筋トレ後は、30秒程度を1~3セット入念に実施し、クールダウンに努めるようにします。

体の状態を確かめる上では、とても大切な”儀式”のようなものなので、違和感や強い痛みがある箇所がないか、軽くでいいので実施するようにしてみましょう。

筋トレ前の身体状態の確認という意味では、軽く反動(スタティックではなくバリスティックな動作)をつけて行うのも有効です。

【スタティックストレッチの実演動画】
実演動画の解説ページはこちら

ダイナミックストレッチ

筋トレに限らず、運動を行う前は体を温めることが大切です。

筋トレでは、筋温を高めておくことで、体の動きが滑らかになり、怪我の予防やスムーズなフォームの実施において有効となります。
このような場合に用いられる方法のひとつが「ダイナミックストレッチ」です。

脚を前後に振ったり、体をリズミカルに動かすことで筋肉を伸ばし、可動域を広げることができ、体温も上昇していきます。
簡単に言えば、体を動かしながら筋肉を伸ばすストレッチで動的ストレッチとも呼ばれます。

生理学的には、相反性抑制(相反性神経支配とも言う)という作用を利用したストレッチがダイナミックストレッチです。
(サッカーのブラジル体操がダイナミックストレッチの例としてよく挙げられます)

主働筋を収縮させると、その反対側にある筋肉(拮抗筋)は弛緩する(伸びる)作用(相反性抑制)があります。その作用を利用して筋肉を伸ばします。
収縮が強いほど、反対側の筋肉が障害を受けないようによく伸ばされます。

例えば、脚を振り上げるダイナミックストレッチの場合、脚を上げた時に大腿四頭筋を意識的に収縮させます。
そうすることで、逆側のハムストリングスが相反性抑制により伸びることになります。

ポイントは、伸ばしたい側と反対側の筋肉を意識的に収縮させることです。何気なくやっていてはダイナミックストレッチの効果を十分に得ることができません。
どこの筋肉を収縮させるのか、どこの筋肉が伸びるのかを意識して実施するようにしましょう。

ダイナミックストレッチは、筋トレ前や運動、スポーツ前のウォーミングアップとして行われるのが一般的です。

【下半身のダイナミックストレッチ実演動画】
ダイナミックストレッチの動画一覧はこちら

バリスティックストレッチ

バリスティックストレッチは、動的ストレッチなので、ダイナミックストレッチと同義(※)で扱われることもありますが、厳密には違いがあります。
(※)ダイナミックストレッチと組み合わせて行われることも多く、バリスティックストレッチを含めてダイナミックストレッチとされる場合があります。

バリスティックストレッチは、反動を利用して筋肉を伸ばすストレッチで、伸張反射を誘発することで強制的に筋肉を伸ばします。

イメージしにくいですが、弾みをつけながら体をほぐしていく”ラジオ体操”が一例として分かりやすいかも知れません。

例えば、ラジオ体操で、テンポよく手を回したり、胸を張って腕を広げたり、反動を使って前屈したり、体をねじったり、ジャンプしながら脚を広げたり、これをそれぞれ連続して数回繰り返すような動作がバリスティックストレッチになります。

ただし、反動が強すぎると筋肉の損傷を招く恐れがあるため、反動の程度を確かめながら実施することが求められます。

バリスティックストレッチは、ダイナミックストレッチ同様に筋トレ前や運動、スポーツ前のウォーミングアップとして行われるのが一般的です。

アクティブストレッチ

ここ言うアクティブストレッチは、アクティブ・アイソレイテッド・ストレッチ(以下、AIS)のことを指します。
(本来はアクティブストレッチを応用したストレッチがAISとされます)

ダイナミックストレッチ同様に相反性抑制の作用を利用したストレッチですが、AISはダイナミックストレッチのようにダイナミックな(大きく力強い)動作を伴わないストレッチになります。
逆に言うと、ダイナミックな動きが伴うとダイナミックストレッチの範疇に入ると言えます。

具体的には、伸ばしたい筋肉とは逆側の筋肉を収縮させることで相反性抑制を促し、収縮させた方とは逆側の筋肉(拮抗筋)を伸ばします。

例えば、腕を胸の前で交差させて大胸筋をギュッと収縮させると裏側の背中の筋肉が伸びます。あるいは、力こぶの筋肉である上腕二頭筋に力を加えれば、拮抗筋である裏側の筋肉、上腕三頭筋が伸びます。

一般的には、まずは伸ばしたい筋肉を伸ばして、そこから拮抗筋を収縮させ、伸ばしたい筋肉をよりストレッチします。

収縮する筋肉を意識することはもちろんですが、拮抗する伸ばす筋肉も伸びていることを意識することがポイントです。

PNFストレッチ(PNFを応用したストレッチ)

PNFは、Proprioceptive Neuromuscular Facilitationの頭文字をとったもので、訳すと”固有受容性神経筋促通法”と言います。
これを応用したストレッチが、PNFストレッチです。

PNFストレッチは、伸ばす筋肉をあえて収縮させることでゴルジ腱器官(※)を刺激し、ゴルジ腱反射により筋肉の緊張が抑制されることを利用したストレッチテクニックです。
(※)筋肉が骨に付着している部分にある器官で、筋肉や骨を損傷から保護する役割があります。筋肉の収縮が過度になるとゴルジ腱反射が起こり、活動している筋肉を弛緩させ、拮抗筋を収縮させます。

一般的にはパートナーと行うストレッチになります。
パートナーは、PNFストレッチの経験を積み、習熟していることが求められます。
経験と知識に裏付けされた方法で実施しないと傷害の危険があるため十分に注意しましょう。

PNFストレッチは、可動域の拡大に大変有効とされており、リハビリ目的やアスリートを中心に活用されています。

PNFストレッチには、いろいろな方法がありますが、一般的に方法に「ホールド-リラックス法」があります。

ホールド-リラックス法は、パートナーにストレッチ姿勢までもって行ってもらい、伸びを感じながらその姿勢を10秒間保持します。
続けてパートナーの外力に対して6秒間強く押し返します(ゴルジ腱器官を刺激)。この時、ストレッチしていた筋肉は収縮(アイソメトリック収縮)します。
次に1~2秒間休憩を入れたのち、再びパートナーにストレッチ姿勢までもっていってもらい、30秒間保持します。
このように行うことで、より筋肉を伸ばすことができることになります。

筋トレにおけるストレッチ効果

筋トレ前にストレッチをする目的は、ウォーミングアップとして怪我を予防し、スムーズな動作に導くことです。身体のコンディション確認を行う上でも大切なルーティンとなります。

筋トレ後は、クールダウンとして老廃物の除去を促し疲労回復や使った部位・関節などのコンディションチェックとしてストレッチします。また、興奮状態からリラックス状態へと導きます。

車に例えると、筋トレ前はアイドリングのようなもので、エンジンを温めスムーズな発進や効率的な加速を促すための準備段階です。
筋トレ後は、酷使したエンジンを切って冷やすことで、エンジンをクールダウンさせている状態と言えます。

これらの点を踏まえると、筋トレのストレッチ効果には直接的、間接的に以下のようなものが挙げられます。

  • 筋温アップ
    (ダイナミックストレッチ・バリスティックストレッチ)
    ⇒ 怪我の予防とスムーズな動作へ導く
  • 関節可動域アップ
    (スタティックストレッチ・PNFストレッチ・AIS・ダイナミックストレッチ・バリスティックストレッチ)
    ⇒ 怪我の予防と正確かつ的確なフォームによる効果アップ
  • 老廃物の除去
    (スタティックストレッチ)
    ⇒ 疲労回復
  • 身体の違和感の発見
    (スタティックストレッチ・PNFストレッチ・AIS・ダイナミックストレッチ)
    ⇒ 普段気付かない筋肉や関節の状態を確認
  • 神経系の働きの向上
    (スタティックストレッチ・PNFストレッチ・AIS・ダイナミックストレッチ・バリスティックストレッチ)
    ⇒ ダイナミックストレッチで活力を高めたり、スタティックストレッチでリラックス状態へ

各効果の個別解説については、それぞれのストレッチの解説で別途詳しく説明したいと思います。

一般的なストレッチ効果

動画では一般および筋トレにおける効果をいくつか示しましたが、ここではもう少し細分化してご紹介します。

また、以前の記事「ストレッチの効果と呼吸、時間帯について」にある効果と重複する部分もありますが、ここに改めてご紹介します。

  • 日常的に悩まされる肩こり、腰痛などの不調解消・軽減
    (スタティックストレッチ)
  • 疲労の軽減
    (スタティックストレッチ)
  • 安眠
    (スタティックストレッチ)
  • 血流改善
    (スタティックストレッチ・PNFストレッチ・AIS・ダイナミックストレッチ・バリスティックストレッチ)
  • 老廃物の除去
    (スタティックストレッチ・PNFストレッチ・AIS)
  • 副交感神経が優位となり気持ちがリラックスする
    (スタティックストレッチ)
  • 姿勢の改善
    (スタティックストレッチ・PNFストレッチ・AIS)
  • (特に高齢者)柔軟性向上による日常活動の改善
    (スタティックストレッチ・PNFストレッチ・AIS)
  • 筋膜の癒着・収縮予防
    (スタティックストレッチ・PNFストレッチ・AIS)
  • 生理痛の軽減
    (スタティックストレッチ)
  • ストレッチ後の代謝アップ
    (ダイナミックストレッチ・バリスティックストレッチ)

ストレッチの主な効果には、以上のものが挙げられます。
個々の詳しい解説は、別の回で掘り下げたいと思います。

まずは、どのような効果があるのか、確認してみましょう。

道具を使ったストレッチ

一人で行うストレッチ(特にスタティックストレッチ)は、部位によっては十分に伸ばせないことが少なくありません。

そのような時に道具を使うことでパートナーに補助してもらうときと同じくらい、あるいはそれ以上に重点的、効果的にストレッチできる場合もあります。

一人でストレッチをやろうとしている方、やっている方は、よりストレッチ効果を高められますので、機会があれば道具を揃えておきましょう。

主な道具は以下の通りです。

  • フレックスクッション
    傾斜を利用して様々なストレッチに応用できる。骨盤を立てやすく、ストレッチ効果を高められる。
  • ストレッチポール
    ポール型の特徴を活かした様々な利用方法がある。転がしたり、ピンポイントで圧をかける。筋膜リリースなどにも活用できる
  • バランスボール
    ボールの形状や弾力、高さを利用して多岐に渡り利用できる。

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