直感法は、自分の感性に従い直感でその日の筋トレ内容などを決める方法です。初心者の方には勧められるものではありませんが、あえて計画を崩すことで、その日の自分に適したトレーニングを実施し、効果を引き出します。


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概要と補足

筋トレの一般原則や身体の機能・反応に関する生理特性に沿って、あらかじめ決めたメニューを行うのがトレーニングの基本です。

その基本を崩すのが直感法であり、自分にとってもっとも効果的だと思うメニューや種目選定、テクニックなどを、その時々の感性に従い、直感で決めて実践します。

自分の体や精神状態を直感的に判断することで、その日に自分が欲しているまたは必要のないことなどを加味してトレーニングできるため、もっとも効果的なトレーニングのひとつとして有効です。

ただし、直感法は筋トレに真摯に取り組み、自分に厳しい人でなければ、逆効果にもなりうる諸刃の剣です。

なぜなら、人は得てして楽な方に道を選ぶ傾向にあるからです。

その際、自分の感覚でトレーニングの内容を決めるようにしていたら、体力的には十分にトレーニングできるのに、精神的な障壁によってトレーニングの内容に制限を設けてしまう恐れがあります。

こうなるとトレーニングの効果が得られないだけでなく、筋トレ自体をフェードアウトしてしまうことにも繋がり兼ねません。

直感法は筋トレの質を高めるためのもの

直感法は、筋トレの質を高めるためのものでなければなりません。

質を高めるには、楽をすることなく、”今の自分にとって、効果をあげるために(あるいは効果を損なわない)、もっとも望ましいトレーニングは何か”を考えることが大切です。

質を高められるなら、その日のメニューを減らしてもいいでしょうし、途中で切り上げてもいいでしょう。

メニューを減らす代わりに各種目のセット数を多めに行うとか、セット数を増やさずとも一回一回の動作に全意識を集中させて行うとか、筋トレ中に体調に何らかの変調を感じ、このまま筋トレしても十分な効果が得られないと直感すれば、トレーニングを明日にずらして万全の状態で質の高いトレーニングをしようとか、このように筋トレの内容が”よりよく”ならないといけません。

つまり、直感法に従って少なくしたり、切り上げる場合は、筋トレの質の向上を前提とした前向きな直感であることが必要なのです。

楽をしたいから減らす、単にきついからメニュー消化前に切り上げるでは、ダメだと言うことです。

ここまで、楽をしたり、減らしたりといった消極的な部分について述べてきました。

これは、直感法を取り入れることでもっとも危惧されることなので、お伝えしてきましたが、直感法は消極的、積極的に関わらず「筋トレの質を高めるにはどうすればいいか」を直感的に判断してトレーニングする高度なテクニックです。

最初にもお伝えしたように「自分にとってもっとも効果的だと思うメニューや種目選定、テクニックなどを、その時々の感性に従い、直感で決めて実践する」。

直感法でトレーニングする際は、このことを念頭に取り組むようにしましょう。

もっとも、多くの人は筋トレに真剣に取り組まれているかと思います。

きちんと計画立てて、目標に向かって邁進していれば、経験に応じて直感法を取り入れることは、切れ味鋭い刀となって、体に磨きがかかってくることでしょう。

なお、直感法は、基本的にはその日その日のトレーニング内容を直感で決める方法であると考えて下さい。

体調がすぐれない場合や筋肉が回復していない場合に休む判断をすることは、直感以前の問題になります。(広い意味では直感法の範疇に入るかと思います)

このような場合は、初心者、熟練者に関わらず、休むなどして臨機応変にスケジュールを組み替えるようにしましょう。

休むことよりも、体調の悪化やオーバートレーニングに陥ることの方を優先して避けるようにして下さい。
これが長期的に効果をあげていく秘訣でもあります。

状況に応じた”トレーニングのお休み”は悪ではないことを理解して下さい。

初心者は直感ではなく、基本原則に従おう

直感法は、トレーニング経験を積んだ方が、体の状況判断やトレーニング経験から自然と導き出される感覚に従い、筋トレを進める方法です。

経験を通じて得られた様々な引き出しがあるからこそ可能になるテクニックであると言えます。

直感と言っても一般生活における直感ではなく、ここでは筋トレにおける直感です。
つまり、”経験に裏打ちされた直感”であることが必要なのです。

日常においては人生経験に基づいた直感力が働いても、筋トレにおいてはゼロではないにしても人生経験がもとで直感が働くことは少ないといえます。

そのため、筋トレで直感を働かせようと思ったら、筋トレ経験が必要になるのです。

筋トレにおける直感は、自分の体とトレーニングに真剣に向き合うことを通じて養われます。

常に考えながらトレーニングすることで養われるといってもいいかも知れません。
トレーニングを繰り返し、成功や失敗を経験することで、いろいろな感覚が備わってくるのです。

この点で初心者の方は、直感法を取り入れる上でのトレーニング経験が不足していると言えます。

初心者の方が、安易に直感、というかあいまいな感覚に従ってその日その日のトレーニング内容を決めることは、勧められるものではないことを理解してもらえればと思います。

まずは、計画し、それに従って実行していく。
その中で、体や精神の状態を直感で判断できるようになったら、その時々の状況に応じて直感法を取り入れることは、さらなる成長にとても役立つことになるでしょう。

一回一回のトレーニングを無駄にしないように考えながらトレーニングすることを意識することが大切です。

また、直感法は、その日の”気分”によって判断するようなものではありません。
気分で判断すると、上記で説明した通り、無意識に楽な方を選択してしまうことに繋がってしまいます。
いかに効果的な筋トレができるか、前向きな姿勢で取り組むことが求められます。

根拠と自信を備えよう

自分の体や精神の状態、状況を客観的にみて、その時々の選択に根拠と自信がなければいけません。

「自分の直感に根拠と自信がある!」

心の中で、そう言い切ることができれば、直感に従うことはとても有意義なトレーニング経験を提供してくれるでしょう。

上記で説明したように、経験則に基づかない内から、むやみに取り入れることは避けるべきで、その時々の気分で判断してしまうと効果を損ね、成長が滞ることになります。

また、気分が乗らない、楽をしたいといったなど、トレーニング対して消極的な理由でコロコロと内容を変えることも避ける必要があります。

繰り返しになりますが、基本原則に前提として、筋トレの計画を立て、それに従い実践していくことが基本です。
その過程で、状況判断やテクニックなど、トレーニング関するあらゆることが身に付き、同時に直感力も鍛えられていくことでしょう。

筋トレは体と同時に頭もよく使うスポーツである

筋トレは、体だけでなく頭を使わなければ、目標を達成することはできないといっても過言ではありません。
その目標が高ければ高いほど、細かいところまで思考をめぐらせ、筋トレと向き合うことが必要になります。

なにげにやるだけでは、なにげな効果しか出せません。

考え抜いた人だけが、手に入れることができる体があるのです。

簡単に言えば、”本気”でやるかどうか。

その本気が、のちに体の表層に現れ、肉体の変化とともに直感力も自分のものにできるはずです。

直感法は、文字だけ見ると簡単なように感じますが、実は奥が深いし、難しいものです。

ぜひ、筋トレマニアと言われるくらい、いろいろなことを考えながらトレーニングを真剣に楽しんで下さい。

その中で経験を重ねて直感法を取り入れることができるようになってもらえればと思っています。