フィットネス業界がクローズアップされている昨今、それに応じてパーソナルトレーナーになりたい人が増えています。ところがトレーナーになれたからといって活躍が保障されていないのも現状です。そこで今回はパーソナルトレーナーに必要なこととして、身に着けておくべき大切なことをお話しします。 



ゲームクリエーターとパーソナルトレーナーの共通点

今回はパーソナルトレーナーになりたい方、そして現在パーソナルトレーナーとして活躍している方々のために向けてこれからのパーソナルトレーナーのあり方についてお話をしていきたいと思います。

ゲームクリエーターに必要なこと

先日、ある会社の会社説明会に参加しました。私(森部先生)は、全日本コンディショニングコーチ協会の代表理事をしている一方で大学での教員の仕事もあります。

その中で4年生が就職活動の時期に入っていて、私も企業さんの実態を学ぶためにどのような会社説明会がされているのかということであるゲーム開発メーカーの企業説明会に行ってきました。

そうするとそこではゲームクリエーターになりたい方々のために代表者自ら非常に熱のこもった説明をされていましたが、その中でパーソナルトレーナーの業界の方々にとっても参考になるお話がありましたのでそれを紹介したいと思います。 

ゲームクリエーターになりたい方々が、どのくらいいるのかということを会場に行って知ったわけですが、広い会場が満席でした。

この時に社長がおっしゃっていたことは、ゲームクリエータ―になりたい方々のために質問をしますと言うことで投げかけられました。

どのような質問だったかというと、例えばCGのテクニック、ゲームプログラミング、アーティストとしての背景画を描いたりするデザインの部分など技術的なレベルを高めていけば、それれだけでゲームクリエーターになれますかといった投げかけだったんですが、これは答えはなれないと言うことでした。

これは技術が必要ではないと言うことではなく、技術や知識というものは当然必要ということで、それ以外の部分が実は重要なんだと言うことだったんですね。

どういうことかというと、ゲーム業界が年々売り上げが下がってきているという深刻な状況をお話しされていました。なぜ、業界の売り上げが下がってきているのかというと、一つは子供の数が少なくなってきているということですが、現状35年の間ずっと市場規模が小さくなってきていて、国内市場で見たとき変えようがない実態なんですね。

ところが、世界で見たら世界の人口は増えていっているわけですが、こと日本のゲーム業界に至っては世界で見ると14分の1程度に過ぎず、ほとんどが海外向けの市場が支えていると言うことでした。そこでグローバル化を考えて、そのメーカーさんも海外の拠点を一つ増やしたということです。

パーソナルトレーナーに必要なこと

では、パーソナルトレーナーやコンディショニングコーチになりたいような方が、トレーニング科学、運動生理学、スポーツ栄養学、こういった事をしっかりと勉強して専門的な知識や技術を身に着けた時にそれでトレーナーになれるのかということなんですね。

実際にはそのことで私はトレーナーですと名乗ってしまえばトレーナーという職業は成立するわけですが、自分のこれから先の生活を支えて、そして自分の家族を養っていく、そして地域に貢献する、こういったレベルで考えた時にはたして知識や技術それだけでこの業界の中で生き残っていけるのかというとこのことについては疑問を感じずにはいられないわけです。

どういうこかというと、その自分の持っている知識や技術というものを誰に対して指導していくのかというということなんですね。

つまり、自分の仕事を成立させるためには我々トレーナーやコーチの前にクライアントになる方の存在が必ず必要なわけです。

では、その市場はどこに広がっているのか。フィットネス業界の市場規模というのが約4000億円と言われています。ラーメンの業界やベーカーリー業界と同じくらいの市場規模です。ゲーム業界が4800億円くらい、牛丼店で3500億円くらいといわれていますので、外食産業やゲーム産業とほぼ同じくらいの規模に相当するわけなんです。これが拡大していくのか、縮小していくのかということに関しては、今後も予断を許さない所であります。

ただ、それだけの市場規模がありながら、身の回りにどれだけの人がフィットネスに足を運んでいるのか、これは大手の施設、それから私たちも関わっているパーソナルトレーニングの世界の中にどのくらいの人が通っているのかとなった時にやっていない人の方が圧倒的に多いことに気が付くと思います。

国民全体から見ると10%は間違いなく達していない状況でしょう。10%もいかないような規模というのは、実は数十年間まったく変わっていないわけで、新しい施設ができたり、新しいコマーシャルが誕生してセンセーショナルにあおられたりすれば、その都度同じようなタイプの人は場所を移動していっている状況で、初めて挑戦するような人も実際には長続きしないで終わっているといった実態があったりします。

日本の中で完全には浸透していないフィットネスの世界で仕事をやっていくことについて、我々業界の人間は当然活きのいい、やる気に満ちた若い人に来ていただきたいというのはあるわけですが、新しく市場に参入してきた若いトレーナーやコーチの方々がずっとこの業界の中で生き残っていくためには市場がどのような状況にあるのかということを分析する能力が常に必要になってくると思います。

これはシンクタンクなどが発表しているデータを真に受けるとか、それを調べるということではなく、実際に自分たちがどこのエリアに拠点を構えてそこにどのように集客しているのかというリアルな場面での仕事を考えてもらったときにですね、その感覚がない人たちにいくら勉強してもらっても将来食べていけるとか、生活が成り立つということの絵が描けないわけです。

活動しているトレーナーさんにうまくいっていますかと問いかけをした時に「なかなかお客さんが集まらなくて・・・」、「一生懸命やっているんですけどね・・・」と真面目に答える方もたくさんいらっしゃいます。チラシを作ってポスティングをしたり、広告を出したり、新聞に折り込みのチラシを入れたり、あるいは駅前で手配りをするとか、こういったことに時間と労力を費やしているような方もたくさんいらっしゃいます。また、インターネットの環境を活用してホームページを作ったり、フェイスブックなどで広告宣伝を打つと言うようなことも一生懸命やっています・

では、皆さんが上手くいっているのかというと、うまくいっていないケースも非常にたくさんあります。

業界を見た時に大手は当然ですが、個人レベルの小規模のパーソナルトレーニングジムを経営されているところでも勝ち組と負け組とに分かれてしまっているのが現状だと思います。

では、現時点では数字上は負け組に入ってしまっているかもしれませんが、本当に誠意をもって、情熱をもって取り組むような若い人たちが参入しているときに、この底辺の状態から少しずつ上に上がっていくために方法はないのかというと、「ある」と考えています。

そのためには、トレーナーやコーチの方々ももっと勉強しなければならないのは経営の勉強であり、マーケティングに関する勉強になってくるのではないかと思います。

どのような方法が非常に効果的なのかということに関しては、その方の住まわれている地域の特性やターゲットとしている層がどういう方々なのかによって、ケーススタディとして色々なことを考えていかなければいけないことはよく分かります。

しかし、それはそれとしてもやはり共通して考えなければいけないのは、マーケティングです。どのようにして集客して、その人たちをクロージングして、ずっと続けていってもらえるか。専門的に勉強したトレーナーやコーチの技能や知識に関しては、続けていってもらえる方々についてはものすごく強みを発揮します。ところがそのエスカレーターに乗ってもらうためには、何とかして力技で引っ張ってくるしかないんですね。

プールの中で魚を釣ろうと思っても釣れるはずがないわけです。

どんなに技術があっても、その技術を受け入れてくれる顧客を獲得することが今後のパーソナルトレーナーの方々にとっては非常に重要になってくると思います。

その中には人間性もありますし、専門性も必要になってくるでしょう。これは当然のことです。そうした中でもっと真剣に考えていかなければならないのは、おそらくトレーナー養成の専門学校や大学ではほぼ教えてくれないマーケティングに対しての考え方だと思います。

これを今のうちからしっかりと肝に据えて勉強していただければと思います。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部特別客員准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長

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