プッシュアップ(腕立て伏せ)は、目的に応じて大胸筋や上腕三頭筋(二の腕)を鍛えることができる最もポピュラーな筋トレ種目の一つです。手幅を変えるバリエーションによっては二の腕を重点的に強化できる非常に優れた自重トレーニングであります。正しいやり方と間違ったやり方を通じて、効果的で効率的に筋トレを進めていきましょう。



自宅で手軽にできる筋トレ「プッシュアップ(腕立て伏せ)」

胸の筋肉を発達させるために代表的な種目「プッシュアップ」について解説します。

自宅でやるトレーニングの中では、最もポピュラーな種目の一つです。腕立て伏せは、肘の曲げ伸ばしによってトレーニングを行います。

当然、動いている上腕三頭筋、上腕の裏側ですね(一般的には二の腕とも呼ばれる)。それから肩の筋肉、三角筋、そして大胸筋というところは非常に効率よく刺激を与えることができます。

また、脚を伸ばして腕立て伏せの形を取るだけで全身のトレーニングにもなります。腕立て伏せをきっちりやることによって、かなり強い体を作ることができますので、ぜひ積極的に行ってみて下さい。
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プッシュアップ(腕立て伏せ)の正しいやり方とポイント

腕立て伏せ

四つ這いの姿勢から、片脚を真っ直ぐうしろに伸ばします。伸ばした足に合わせるようにして、もう片方の脚を伸ばしましょう。この状態かスタートのポジションになります。(手を置く幅は、肩幅よりも広めにとります)

ここから体を沈めて、上げる。これを繰り返します。

動作中は、体幹を真っ直ぐにキープした状態で行うのが基本です。

手の幅はすべてバリエーションになります。

手の幅が広くなれば、胸の外側。狭くなったときには、胸の内側を効率よく刺激することができます。これは実際にやってみるとよく分かると思います。

肘をどこまで曲げたらいいのかということに関してですが、(体を沈めて)肘を曲げた時に肘関節の角度が90度近位、90度に近づくところが基本的な曲げたときの深さになります。

できるだけ深く下ろした方が、トレーニングになるのではないかというふうに考えられがちですが、一つ問題点があるんですね。

上腕三頭筋の筋肉は、肘を伸ばすための筋肉なので不要に深く曲げてしまうと働かなくなってしまいます。その場合には、肘に負担がかかったり、肩の方に刺激が逃げてしまいますので、効率よくトレーニングするためには下ろした時点で上腕三頭筋が床と平行になるところ、ここを一つのポイントとして行ってみて下さい。

むかし体育の授業などで行っていたときには、体育の先生や部活動の顧問からもっと深く下ろせと指導を受けていたと思います。でも、やってみたらわかるのですが、(胸または顎が付くくらい)深く下ろした時には、すでに上腕三頭筋の刺激は肩の方に逃げてしまっています。したがって、回数をこなしていって徐々に疲れてきた時には肩の方を痛めてしまうことになりますので、不要に深く下ろすのではなく、肘を伸ばすということに注意して行ってみ下さい。

また、トレーニング中は、常時足首から頭のてっぺんまで一直線になるようにして行ってみましょう。

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腕立て伏せの回数とセット数

一般的には回数でトレーニングを行いますが、初心者の場合は取り組みやすさや効果の実感が得やすい方法として、ここでは時間を用いて行います。

まずは、1分間続けて行うことを目標にしますが、途中で疲労や筋力に限界がきたら、休んで構いません。ただし、1分経過するまでまだ時間あるなら、少しだけ休んでまた反復を再開するようにして下さい。

フォームが崩れてまで反復すると怪我や効果を損ないますので、正しい動作で限界まで行うことを順守し、フォームが崩れそうになったら一旦休むようにして下さい。

もし、腕立て伏せが一回もできない方は、腕立て伏せの姿勢のまま静止することから始め、体力アップを図るとよいでしょう。体力が付いてきたら、少しだけ肘を曲げる動作を行うようにすることで、最終的には腕立て動作ができるようになるでしょう。

まずは、1分を1セットからはじめ、1分間を連続でできるようになったら、2セット、3セットとセット数を増やして運動量を増やしていくようにしましょう。

反復時間やセット数が増えていくたび、体力が付いている証拠ですから、自分の体力アップを実感しながらトレーニングしていくことができます。あきらめずに頑張って続けていきましょう。

腕立て伏せの間違ったやり方

間違った腕立て伏せのフォームについて説明します。

多くの方が一生懸命トレーニングをやっているところまではいいんですけれども、残念ことにフォームを崩しているために運動の効果が現れなかったり、怪我に繋がってしまうことがあります。

運動の効果が出ないと継続するモティベーションが上がりませんので、ぜひ正しいフォームを覚えるためにも間違ったフォームについても知っておきましょう。

頭が下がってしまう

首の位置を見て下さい。

腕立て伏せの間違った方法(1)

これは頭が前に倒れて、落ちてしまった状態でのトレーニングになっています。背筋が真っ直ぐに伸びていないというところですでに間違っているわけです。

まぜ、このような間違いが起きるのかと言うと、目線を床に近づけることによって自分ができるだけ大きな動きをしているという錯覚を起こすためなんですね。

これはできるだけ大きな可動域をとった方が正しいと思っている先入観が導いているものだと考えられます。

たくさん動かすことが必要なわけではなく、腕立て伏せに関しては、いかに正しく肘を伸ばし切るかとういうところがポイントになりますので、深く下ろすということは意識する必要はありません。

筋力が付いて動きに慣れてくれば、その時点での自分の強さによって自然にストロークが大きくなっていきますので、そこはあまり心配しなくていいと思います。

首が曲がって頭が下に落ちないように、そこを注意して行いましょう。

頭を起こしてしまう

次は、逆のパターンで頭が起き上がってしまうケースです。

腕立て伏せの間違った方法(2)

この動きは、頭を起こして行っています。

これは胸をストレッチするために行っている反射によるもので、頭を起こしてしまうことによって、今度は腰が反ってしまうという問題が起きてしまいます。

反復する回数増えてくると、腰を痛めてしまうことにも繋がってしまいますので、こういったことも間違ったフォームだと思って下さい。

あくまでも顔は床と平行な状態に持っていって、背筋をまっすぐに伸ばすことをポイントとして行いましょう。

プッシュアップの目標回数(時間)と頻度

  • 【回数】60秒×1~3セット
    ※続けて行うことができない場合は、10秒を6回に分けて行ってもOK
    ※セット間の休憩は60秒
  • 【頻度】1~2日おき
    ※フォームの習得期間や負荷が軽いうちは、毎日行ってもOK
    ※疲労度に応じて調節する
    ※場合によってはもっと空ける

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長