野球とゴルフのスポーツパフォーマンスアップとして、これだけはやっておきたい効果的な体幹トレーニングを1種目ずつピックアップしました。野球ではピッチング動作、ゴルフではドライバーの精度と飛距離を伸ばすための体幹トレーニングをご紹介します。

野球



ゴルフ

野球などピッチング動作に効果的な体幹トレーニング

一般的にスポーツ選手のパフォーマンスを向上させるために体幹トレーニングが必要だということは、今やすべての方が認識している事実だと思います。

どのように体幹を強化していけばいいのかと言うことについては、いろいろなトレーニング方法があるためにどの種目を選択していいか、またプログラムとして組んでいったらいいかということは非常に難しい問題だと思います。

おおまかには体幹を固定させる、静的(スタティック)なトレーニングと部分的に稼働させるようなバリスティックな動き、それから大きな、ダイナミックな動きに繋いでいく動的な体幹トレーニングといろいろあります。これらを組み合わせていかないと、競技によっては合う、合わないといったことが出てくるのではないかと考えられます。

その中で日本では非常にポピュラーなスポーツの代表にも挙げられる「野球」。ここでは、その中でもピッチィング動作を改善するために有効な体幹の鍛え方を説明します。

体幹とは?

まずは体幹とは何かを理解する必要があります。

(お腹周りが体幹であると認識している傾向がありますが)体幹は胴体の部分だけではなく、実際には脊柱が通っている部分はすべて体幹であると理解して下さい。

首、胸部、腹部などが体幹と言うことになります。

その部分を自分の意識で固定することもできれば、変幻自在に自由にコントロールすることができる。それを両方兼ね備えておかなければ、優れたピッチィングのパフォーマンスを発揮することができません。

もちろん、(動作の性質上)今回説明する実技に関しては、他の種目にも応用することが可能です。

例えば、バレーボールのアタック動作、それからテニスのサーブ、こいったことにも当然ながら応用することができます。

トレーニング方法

トレーニング方法には、2種類の方法があります。

背中を丸める・反らす

野球の体幹トレーニング(1)

ポジションとしては、床の上で四つ這いの姿勢を取ります。この時、首から腰までの部分を一直線保ったポジションが基本姿勢になります。

そこから出来るだけ背中を丸くする。出来るだけ反らす。この段階では首は動かしません。首は床面に対して正対した状態、並行にします。

首のポジションに注意して、首から下の背骨部分を変形させていきます。(丸くする・反らす)

当然、丸めた状態、反らした状態の振幅が大きくなればなるほど、大きな動きができることになりますので、これはパフォーマンスを向上させる上では非常に大事な動きになります。

従いまして、単純に形を真似るのではなく、最大の可動域をとっていくように、しっかりと意識して行って下さい。

中途半端に丸めたり、反らしたりを繰り返すのではなく、出来るだけ丸める、出来るだけ反らす。

また、背骨を反らしていく時には肩甲骨を引いて、締めた動きになります。そして背中を丸めていく時には肩甲骨を広げていく。ここにも注意して最大可動域が取れるように行ってみて下さい。

背中を連動させて丸める・反らす

野球の体幹トレーニング(2)

1種目めの動きがしっかり取れるようになってきたら、今度は背骨の動きに順番を付けていきます。

腰の下の方から少しずつ脊柱を丸めていきます。1種目めの背骨を単純に丸めたり、反らしたりするときには、首を動かさないで行ったわけですが、連動させる場合には首の動きをコントロールする必要があります。

普通に背中を丸めることを意識すると頭から動いてしまいがちになります。そうなると背中の動きは限定されてしまいますので、必ず、腰の下の方から動かしていくようにします。

ギリギリの状態までしっかり丸くした後、最後に頭が下がっていきます(最後に首を動かす)。

そこから逆に頭は固定したまま(下げたまま)腰の下の方から、反らしていきます。(逆の動作になっても首は最後に動かす

少しずつ、滑らかに動かしていくように注意して行ってみて下さい。

単純にスムーズに早く動くことだけを考えると、背骨の一つひとつの動きが曖昧になってきますので、ゆっくり動かしていくことがポイントになります。

ゴルフでドライバーの精度と飛距離を伸ばすための体幹トレーニング

ゴルフの中で特に重要になってくるのは、体の軸です。実際にボールを打つ時、ショットの瞬間に体の軸が横方向に体重移動していっても流れていってしまってはいけません。

よくプレイヤーの方々が言われるのが、体が流れ過ぎない、壁を作るということで、特にレッスンプロとかに指導を受けても、そのような理解はされている方は多いです。

では、それをどうやってうまくコントロールしていけばいいのか?

ゴルフの打ちっぱなしなどで練習をしながら自分に合ったフォームを作っていくことは、当然やっていかなければいけませんが、技術的なところだけでコレだというところに安定させていくには非常に体力も必要ですし、長い時間がかかってしまいます。

これを少しでも効率よく自分のモノにするためには、やはりそこには強さが必要で、その強さを身に付けるためにも体幹トレーニングは非常に有効になってきます。

特に横方向への強さを身に付けるということが、体が流れてしまわないようにして壁を作るための強さを身に付けることに繋がってきます。

横向きで固定する

ゴルフの体幹トレーニング(1)

まずは、床の上に横になります。脚を真っ直ぐ横に伸ばして、体重を片手で支えます。

うまくバランスを取るために最初は足を継足にします。床に近い方の足を少し前に出して、上側の足を前側の足のすぐ後ろにくっつける形になります。膝は真っ直ぐに伸ばしてください。

その状態から、腰を高いところまで持ち上げて下さい。この時に両脚を結ぶ線から脊柱のラインが最低でも一直線になるようにします。できれば、わき腹によりストレスを与えるために、腰の位置を少し上げて、体をひらがなの“へ”の字になるような感じで固定をしてあげる。

このようにすることで、横方向への強さをしっかりと作る体幹トレーニングができます。

両足を重ねて行うこともできます。こうすると基底面が小さくなりますので、前後方向への揺れも出てきます。これを固定することによって、さらに体幹を強化することができます。

ゴルフでの動作としては、左右どちらかで打つわけですが、トレーニングとしては必ず左右同じように行って下さい。左右のバランスを取っておくことが非常に重要になってきます。

トレーニングを重ね、もっと強くなってき場合は固定した状態から上の脚を上げて、片脚で体重を支えるようにします。そうすることで、さらに運動の強度が上がります。

ゴルフの体幹トレーニング(2)

その時点での自身の体力に合わせて、少しずつ延長していくことをお勧めします。

できれば、1分間固定できるところまで持っていきましょう。最初は5秒、10秒~はじめて少しずつ長くしていきます。

必ず、左右行っていきますので、どちらかだけ強くなるようなことがないように弱い方に合わせて同じように段階を追って強化していって下さい。

必ず、鏡で見る、あるいは第三者にスマホで写真を撮ってもらう等して、体の軸が左右対称になっているかと言うことを確認しながら正確に行うことをお勧めします。

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筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長