脚を前後に開いてお尻から太ももを鍛えることができるスプリットスクワットの正しい方法を実演・解説します。主にお尻、ハムストリングス(太もも裏)を鍛えることができる種目なので、太ももの引き締め、ヒップアップ、スタイルアップしたい方におすすめです。



スプリットスクワットの正しいやり方とポイント

スクワットのバリエーションのひとつスプリットスクワットです。

スプリットスクワットは、ワイドスクワットが横方向に脚を広げて行うのに対して、前後方向に脚を広げて行います。

前後に脚を広げることによって、左右のアンバランスが生じます。それにより、上体がぐらつきやすくなりますので、そこを我慢するだけでも体幹トレーニングとしても有効なトレーニングです。

スタートポジションは、直立の姿勢から片方の脚を大きくうしろに引きます(開きます)。どこまで脚を引けばいいかと言うと、柔軟性によっても決まりますが、股関節に余裕があるような方は、うしろに引いた方の足裏が床に対して垂直に立つようなポジション(かかとを上げる)を一つの目標として下さい。

この場合、かかとが天井に向かって上がり、つま先立ちのような形になり体重が前脚にかかった状態になります。逆にかかとを床に近づけるようにして下ろしてしまうと重心が前方から後ろに移動し、前脚に対する負荷が少し落ちてしまいます。よってスプリットスクワットによるトレーニング効果を高めるには、体重を前脚に残した状態を作る必要がありますので、後ろ足は指先だけが付いている状態で行うのが正しい形になります。

前脚については、真っ直ぐ立った状態でも膝が少し屈曲したところが最大の伸展位だと思って下さい。つまり、スタート時および元の姿勢に戻った際は、前脚を真っ直ぐに伸ばし切るのではなく少し曲がった状態(ロックしない状態)になっているのが適切なポジションであると言うことです。

ここまでがスタートポジションになります。

この姿勢から股関節と膝を曲げて上体を深く下ろし、屈曲運動を行っていきます。片側が終わったら、脚を入れ替え、もう片方の脚も同様に行います。

回数は、1セットにつき限界まで行うことを基本としますが、まずは60秒間を目標時間として反復することからはじめてみましょう。慣れてきたら3セットまで増やしていくことで漸進的に仕事量を上げていきことができます。

60秒間連続でできない場合は、休憩を挟みながら合計60秒行うことができればOKです。

例えば、連続で行うのが10秒で限界に達するならば、10秒行って少し休憩し、また10秒行う。この場合、10秒間のトレーニングを6回行うことになり、6回行って1セットとなります。ただ、最後の方は疲労によって5秒程度しかできなくなるケースもあるかと思います。その場合、6回目が5秒であれば、あと5秒残っているので最後に7回目として少し休憩を挟んだのち5秒行って終了となります。または、最後の方は少し休憩を長くとり、回復させてから行うようにすると各回の秒数を統一させることもできます。いずれの方法でも効果はありますので、やりやすい方を選ぶとよいでしょう。

前脚に荷重をかける

ポイントとしては、後ろ脚の延長線上に上半身が乗っかってくるようにします。つまり、上下運動に合わせて脚から上体までが一直線に保つようにします。膝を曲げていけばいくほど、上半身は床に近づいていきます。こうすることで前脚に上半身の重みをかけることができますので、これが負荷となるわけです。

よく見られるのが、スプリットさせた動きで後ろ脚の膝まで曲げる種目があります。いわゆるランジです。ランジではスプリットスクワットよりも広げる幅が小さく、強化できる筋肉が少し違ってきます。重心も体の中央(お尻の下)にかかることで、刺激が異なってきます。

トレーニング効果としましては、スプリットスクワット同様に脚力を訓練するわけですが、スプリットスクワットの場合は、主にお尻、ハムストリングス(太もも裏)を強化することを目的とします。そのため、ランジのようにスプリットの幅が小さいと後ろ脚では太もも前側の大腿四頭筋を使ってしまい前脚へ重点的に負荷をかけたいところを前後で負荷が分散してしまいます。そうなるとスプリットスクワットで目的とする効果を十分に得ることができないことになります。

そこでスプリットスクワットでは、広げる幅を大きくして行うことが重要になります。そこから前傾して膝を曲げていくことで、前脚に重点的に荷重がかかることになります。

脚力や背筋力が弱い人の場合は、前傾姿勢がうまくできず上体が起き上がった姿勢のまま動作してしまいがちになります。このような姿勢になると腰に負担がかかってしまいますので、必ずお腹をへこました状態で体幹をしっかりと固めて、前傾姿勢をとるようにして下さい。

グラつきをコントロールして動作する

脚を前後に開くことによって、左右にぐらつきやすくなります。特に前脚を屈曲して伸ばした時(戻る時)に膝が揺れることが十分考えられます。そこをコントロールしてしっかり止めてやることによって太ももの外側の筋肉はもちろんですが、特に太もも内側の内転筋群を緩めずにトレーニングすることができます。

最初は少ない回数からで構いませんので、少しずつ回数をこなせるように頑張っていきましょう。

前足の指が浮かないように注意

その他のポイントとしては、バランスを取ろうとして膝が揺れる時に前足のつま先が浮いてしまうケースが良くあります。指が浮いてしまうと、床を踏みしめてトレーニングすることができませんので、膝のブレが無いように体重を前に残した状態でトレーニングして下さい。

重心を効果的に下げるためには、手を下ろした状態で動作するのが安定感を得られます。徐々に強くなってきたら、手を頭の後ろで組む方法で行うようにしてみましょう。

グラついているときに膝を曲げたり、伸ばしたりと動かしていくとバランスを取るのが難しくなりますので、一回一回グラつきが止まってから安定感が出て膝の屈伸運動を行うようにしてみましょう。

スプリットスクワットの効果

スプリットスクワットは前側の脚に荷重を乗せることで下半身を鍛えることができるトレーニングです。重心の多くを片方の脚に乗せるため、自重トレーニングの中でも較的強度が高く、効率的に鍛えることができます。

主に太ももとお尻の引き締めに効果が期待でき、下半身のスタイルアップを目指す上でとても有効な筋トレ種目になります。

特にお尻から太ももの裏側(脚の付け根周辺)によく効きますので、ヒップアップしたい方やお尻と太ももの境界をクッキリさせたい方、お尻周辺をスタイルアップしたい方におすすめです。

実際にやってみると分かるのですが、スプリットスクワットを行った翌日から翌々日にはお尻が筋肉痛になるケースがよく見られます(個人差があります)。それだけ効いているあかしでもあり、自重トレーニングでもしっかりと効かすことができることを証明していると言えるでしょう。

これは正しい動作を行っているか否かを判定する体の反応でもありますので、特にトレーニング初期は筋肉痛を目安に正しい動作を行っているかどうかを確認することができるでしょう。

ただし、あくまで筋肉痛は目安ですので、筋肉痛が出にくい人は正しい動作を行っていても筋肉痛を感じることができないかも知れません。そのため、第一に重要視すべきは動画で実演しているフォームを完全にコピーすることを心がけて下さい。逆に筋肉痛が出やすい人は、トレーニング初期において筋肉痛が出なかったとしたら、フォームを疑ってしかるべきでしょう。

スタイルアップについての効果を示しましたが、それ以前に体力に自信のない方や下半身に不安のある方などが健康目的で行うトレーニングとしても最適です。ぜひ、日々の運動習慣として取り入れて下さい。

またバランス力も求められるトレーニングですので、グラつきを抑える作用により体幹部の強化にも役立ちます。競技スポーツなどを行っていて、下半身の強化と体幹力を身に付けたい方もにおすすめできます。

目標回数(時間)と頻度

  • 【回数】左右各60秒×1~3セット
    ※続けて行うことができない場合は、10秒を6回に分けて行ってもOK
    ※セット間の休憩は60秒
  • 【頻度】1~2日おき
    ※フォームの習得期間や負荷が軽いうちは、毎日行ってもOK
    ※疲労度に応じて調節する
    ※場合によってはもっと空ける

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長