これまで何度もダイエットをしたけど成功した試しがない・・・、うまく続けられない・・・、いつもリバウンドしてしまう・・・、ダイエットの失敗談は数多くあります。なぜ失敗してしまうのか、そして成功するためには何が必要なのか、その要因と解決策、成功の秘訣について考察します。



「ダイエット=体重減」ではない

もともとダイエットと言うのは、生活習慣病を改善するために医師が患者さんに対して施す食事療法、あるいはその時に提供される食事そのものをダイエットと呼んでいます。

ところが、ダイエットプログラムを一定期間継続して医療の立場で観察したときに体重が減って、体型も改善されて、病気も好転すると言ったようなところが観察されることによって「ダイエットをすると痩せる」とうことが強調されているのが現状です。

のちにダイエットと言う言葉の響きもいいことから、「ダイエット=痩せる」ということが一般的に普及して、今ではそれが普通に通じるようになっています。

ところが、ダイエットを成功させるための物差しとして、体重が今の状態から減ることを成功であると多くの方が判断してしまうわけですが、はたしてそれでいいのか言うことを考える必要があります。

体重だけを気にして行うダイエットの場合だと、結論から言うと多くの方が失敗に終わります。

どうして失敗に終わるのか?体重=体脂肪+徐脂肪量

我々の体を構成している体重ですが、体重の中は体組成で見た時に脂肪を含まないもの(徐脂肪量)と、脂肪の量と合わせて体重が構成されているわけです。

体重を減らした時に効率よく体脂肪量だけが減っていって体重が減るのであれば問題ありません。

ただ、多くの場合、食事量をコントロールすることで体重を減らしていったとします。そうしますと体脂肪も減りますが、筋肉量も減ってしまいます。極端な場合だと、骨の密度も下がってしまうことになります。

ところがそれを短期間で急激に行った場合、今度は体は元の状態が自分にとっては正常だと判断してしまいますので、急激に減量した場合には、また短期間のうちにリバウンドしてしまう現象が起きてしまいます。このリバウンドする際には減っていく段階では、脂肪も筋肉も減っていったのに、増える段階では脂肪しか増えないと言う恐るべき現象が起きてしまうんですね。

こういった事を繰り返していくと、ダイエットをするとなかなか痩せにくくなってしまう方もたくさん出てきます。

体重ではなく、体型を意識する。体重が減ってなくても問題ない

そこで考えていただきたいことは、体型のことなんですね。

我々の体は遺伝的な部分である程度体型が分類されています。特別な食事、特別な運動プログラムを持っていない人でも、自分の体は元々DNAに刻まれている情報によって、「痩せ形」のタイプ、「筋肉が多い」タイプ、やや太った「肥満タイプ」の3タイプに大きく分けられます。

痩せているけど比較的筋肉が多い、あるいは太っているけど比較的筋肉が多いといった「中間型」というタイプも存在するわけですが、大まかに見ますと痩せ形、筋肉型、肥満型の体型は分類されます。

専門的には、痩せ形をエクトモロフィー、筋肉型をメゾモロフィー、肥満型をエンドモロフィーと呼ばれます。このタイプに多くの方は基本的に支配されてしまっています。

したがって、食事をコントロールする、運動プログラムによって体を改善していくということをやっても、それが短期間のうちに行われたものであれば、やめてしまった時点で元々持っている自分の体型のタイプに戻っていくことになります。これもある種のリバウンドと考えることができます。

BMI(肥満判定)だけで判断しない

特にダイエットしなければいけない、医学的な部分で危険性がある方の場合に、あなたはダイエットした方がいいよと主治医の先生から言われる方もいらっしゃいます。

健康診断などで引っかかった場合に目安として体重を身長の2乗で割った数値をBMI(体重÷(身長m×身長m)と呼んでいますが、このBMIの数値で大まかな部分は判断するわけですね。参考サイト:BMI自動計算

ところがBMIの計算式には(重さに関しては)体重しかありませんので、徐脂肪量も体脂肪量も全部ひっくるめたもので体組成に関しては反映されていないわけです。

従いまして、どうしても体重や身長によって影響される部分が大きいですので、このような判断だけでダイエットを進めていこうとすると厳しい状況になる人も増えてきます。このような場合は、体は無理をしてしまうことになるので、うまい具合に計画が進まないことになります。

その時にBMIに意識が占領されて、あと1kg減らさなければならない、あと5kgとか、数値ばかり追い求める傾向に陥ってしまいますとリバウンドしてしまうことになります。

見た目の部分をしっかり観察する

先ほども説明しましたが、体重は結果であって、その前に自分の見た目の部分をしっかりと観察する必要があります。

実際に測った数値で言いますとサイズと言うことになりますが、体重計に乗って分かる体重と言うのは筋肉も脂肪も骨も全部ひっくるめての重さになります。

ところが、見た目のサイズでは、例えばウエストが減ったような場合はお腹周りにどのような組織があるのか考えた時にやっぱり大きくなっている場合には皮下脂肪や内臓脂肪がたくさんついているわけですから、ウエストのサイズが減ることだけでも、筋肉はそんなに減らずに体脂肪だけが減っていることを観察することができます。

その結果、体重計に乗ってウエストは減っているんだけど体重はあまり変わっていなかったとしても、これは全く問題ないわけですね。

どういうことが起きているのかと言うと、運動プログラムとダイエットプログラムである食事の部分と併用して行った場合に筋肉の量を維持、もしくは少し増やすことができて、一方で体脂肪を効率よく減らすことができたと言うことの結果がサイズは減ったけど、体重はあまり変わっていないことに現れてくるわけです。

このような見方ができるようにならないと、実際にサイズは変わっているけど、体重が変わってないことにとらわれて、もっと減らさなければいけない、食事を我慢しなければいけないと言うことで、食事や運動に対して必要性を過大に評価してしまって、もっとやらなければいけないと言うことが、自分にとってストレスになってくる方が非常に多いと言えます。

ストレスを抱えることが、健康に対して悪影響を及ぼすことは当然分かっていることですし、なかなか結果が出ないのに頑張らなければいけないと言うことを継続することが多くの方は非常にしんどいんですね。

やっているのに自分の思う成果が出なかった場合に、継続のモティベーションが続かないことになれば、せっかく始めたのに途中でやめてしまう。やめてしまえばまた元に戻ることになってしまいますので、仮に少し減っていたとしても、また元に戻ってしまうことが起きてしまいます。

ダイエットを成功させるには“継続”が最重要

ダイエットを成功させる最大のポイントは、続けることです。

どうやって続けていけばいいのかと言うときに成果をどう判断するかですね。自分が取り組んだ食事のプログラム、あるいは運動のプログラム、こういった事を含めてどの部分で成果が出ているのかと言うことをうまい具合に観察して、自分で認識する必要があります。

そのためには、体重や体型など、いくつかの指標をバランスよく見ていく、これがまず必要になってきます。

数値に現れる部分と現れない部分について、前者は客観性がある指標、後者は主観的な感覚です。ダイエットを行う場合には、大まかにいうと2つのアプローチがあり、運動によるものと食事によるコントロールがあります。

どちらも非常に重要なことなので合わせて行うべきですが、そのことに取り組んでいったときに自分でどう感じられるか。

主観的な感覚

例えば、体が軽く感じられるようになった、階段の上り下りをしても全然疲れない、動くときにどっこいしょと一声かけなくてもわりと自由に自分の体をコントロールすることができるようになった、あるいは長時間の労働や学校の生活の中で疲れにくくなった、何かに集中して取り組むことができる。こう言った他社からはなかなか分からないけど、自分の感覚として理解できる主観的な感覚が非常に重要です。

客観的な指標

それ以外では、客観性のある指標。他人から最近なんか痩せたんじゃない、体が引き締まってきたよねと、評価されれば非常に有効な材料になります。また、いつも来ている着衣が緩く感じられる、ベルトの穴が一つ小さくなった、こういった事と言うのは、いちいち測らなくても感覚としても理解できますが、見た目で分かりますよね。見た目で判断できることと言うのは非常に重要になってきます。

自分の体をいつも見る

毎日取り組んでいく中で、昨日取り組んだことが今日の結果に反映されるような、非常に時間的に短いスパンで起きる変化ももちろんありますが、多くの場合は一週間、二週間と言う単位で見ていけば必ず何かが変わっています。

首回りがスッキリしたと言うのもそうですし、腫れぼったかった目が少しスッキリしてきた、足のむくみが少なくなった、このようなこと等でとらえることができます。

こういった自分の体に起こりうるいろいろな変化と言うものをつぶさに観察しておく必要があります。

そのために重要なことは「いつも見る」と言うことです。ぜひ、鏡を活用していただきたいと思います。お風呂に入る時、洋服を着替える時などに鏡をうまく使って、自分で自分を見た時にどのように変化に気が付くことができるか、もしくは変わっていないとか。変わっていないことが悪いわけでなく、変わっていないのであれば食事面や運動面で取り組む余地があるのではないかと考えれば済むことです。

成果が出てもやめずに継続する

継続することが一番重要になると言うことを先ほどもお話ししましたが、ダイエットを成功させるためには自分がダイエットに関心を持っている期間は、ずっーと続けていくことが非常に重要です。

私(森部昌弘先生)のジムにいらっしゃる中で、競技選手の場合ですと競技力を高めたいといった目的でいらっしゃる方がほとんどですが、一般の方の多くは体力を付けたいと言う方と、もう一つはダイエットしたいという方で希望が分かれています。

ダイエットをしたいと申し出て入会される方は、どのくらいで効果が出ますかと言うふうに、最初からダイエットをして自分が痩せるまでの間にどのくらいの期間を見ておけばいいのかと言うことを最初に聞いてこられます。これは裏返してみると効果が出ればあとはそれでいいやということで継続するよりも自分の目標値まで体重を下げる、あるいは体のサイズを絞ることができれば、もうそこでやめるということを前提で考えているわけですね。

このような方は、結果的に一時的に成果が出たとしてもその後時間をかけてリバウンドしていきますので、また元に戻ってしまいます。

しかも、元に戻ってしまうまでの間には時間が経っていますから歳はとっていくわけですね。人は誰でも歳をとるにつれて老化現象、エイジングと言うものが起きているわけですから、ある期間にはダイエットに取り組んで結果が出ても、それから歳をとって数年後に取り組んだ場合、同じ成果が出ないことも当然起きてきます。

従いまして、ダイエットに取り組み、成果を維持したいのであれば、今の食生活とかを一生継続していく必要があると思います。少なくとも運動のプログラムは継続する必要があるでしょう。

食事の中から自分のタイプを探る

その中で運動に影響を与えるものの中に食事や睡眠時間の問題などがありますが、食事の中で特にエネルギーになるものに「炭水化物、脂質、タンパク質」の3つがあります。この三大エネルギー源と言われているものの中で自分の体を構成している組織、もっとも大きな影響を与えているものは何かを自分で掴む必要があります。

例えば、炭水化物をたくさん摂ることによって太ってしまうタイプなのか、あるいは総摂取カロリーが多いことによって太ってしまうタイプなのか、自分がどういったタイプなのかを検証していくわけですね。

そのためには食事のコントロールが必要になります。ある期間の中で、例えば炭水化物の量に問題があると言うふうに仮説を立てたとすると一日の中で、朝ご飯、お昼ご飯、晩ご飯とがありますが、その中で一番炭水化物の比重が多い部分を炭水化物のみカットすると言うやり方を例えば一週間やったとします。それでもし体がちょっと引き締まったとか、体重が減ったとかあれば、もしかするとその方は炭水化物の影響が非常に大きな方であるかもしれないと言うことです。

逆に油ものを好んで食べる人がトンカツや唐揚げ、天ぷらなどをよく好んで摂取している人の場合、食べる時に衣をはがして食べる、できるだけ揚げ物は摂らない、ドレッシングやマヨネーズは使わない、このような方法によって脂分をできるだけカットしていったときに一週間くらいそれを継続して、もし顕著な効果が出たとすると総摂取カロリーによって自分の体形が影響を受けることが予測できるわけです。

無理なくできることを続ける

そのことを知った上で、どういったダイエットプログラムが無理がないのか。無理なく続けられるものでないと継続はできません。

食べたいのに食べれない、でもやらないと結果が出ないかと言うことで自分に縛りを付けたり、そのことが非常に自分のモティベーション高めるような性格の方であれば、もちろんそれはそれで問題はないかも知れませんが、食べたいのに食べれない、なかなかお友達とお付き合いができないとか、このようなことがストレスになってしまうのであれば元も子もありませんので、無理なく続けられる方法を考えていくわけですね。

例えば、炭水化物をカットする場合でも朝ご飯から抜くのか、晩ご飯から抜くのかとか、というようなことで一番無理なくできる方法を考えていく。

それと自分が作ったダイエットプログラムを仮に100点満点だとすると70点くらいで合格を出せるくらいの少し余裕を持って考えられるような設定にする。ガッチガッチに固めてしまって、今日はこれができなかったからもうダメだと言うふうに自分を追い込んでしまうような考え方と言うものを改善してですね、6~7割が達成できていれば続けていくことで効果が出るだろうと、こういったものの捉え方をしてとにかく期間をできるだけ長く継続していくことが非常に重要になります。

あとは運動プログラムの中で特にどういう運動が効果が出るのかと言うことに関して、いろいろな研究者、あるいは前線で働いてあるトレーナーの方々がいろんな説を唱えてありますけれども、これが一番いいと言う決定的な方法は現状ないと考えられます。どの運動にも継続する限りには必ず効果がありますので、自分にとって一番無理のない運動プログラムを採用されればよいかなと考えています。

筋トレがダイエット成功のカギ

私(森部昌弘先生)のところでは、何を一番強調しているかと言うとやはり筋力トレーニングです。筋力トレーニングを最大限、運動プログラムの中の柱として取り込んでいる理由としては、筋トレの最中には糖質、炭水化物しかエネルギーにならないと言うことです。

多くの方は、食事をして、その食事で摂った摂取カロリーを一日の生活の中で消費できない、そのあまりの部分が皮下脂肪などで体の中に蓄積していくわけですから、できるだけ体の中に余るものを減らすために運動プログラムを追加すると言うのが、そもそもの運動プログラムを導入する目的なわけでなんですね。

その中でも同じエネルギー源であっても炭水化物、脂肪、タンパク質というものの中で最もエネルギーに変わりやすくて、消費しなかった場合に体脂肪になりやすいものが、実は炭水化物なんです。

ところが、筋トレの最中にはほとんどの場合、糖質、炭水化物しかエネルギーになりませんので、筋トレを真剣に取り組んでいれば太ることは基本的にはなくなるわけなんですね。

筋肉をしっかりとトレーニングして活性化しておくと安静時の代謝(基礎代謝)も上がっていますので、太りにくい体を維持することができます。参考サイト:基礎代謝の目安自動計算

こういった点で、筋トレをまず第一にご紹介しています。

あとは(指導の中で)自分は走るのが好きだとか、走るのが気持ちいいとかいう場合は筋トレに加えて有酸素運動のプログラムを追加されるということも自身の裁量でやっていただいています。

一日の中で運動の時間としてキープできるのが、10分や20分など非常に短い時間しか割くことができないような忙しい方々の場合は基本的には筋トレをメインでご紹介しています。

ぜひ、ダイエットプログラムに筋トレを取り入れて、最高の結果に導いていただければと思います。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長