パーシャルレップ法とは、トレーニングの中でフルレンジ(最大可動範囲)で行えなくなっても挙げられる範囲内で動作を継続する方法です。動作の継続を反復できる可動域に限定するため、通常扱えない重量を用いることができます。


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概要と補足

パーシャルレップ法のやり方は、通常通り動作を行い、「限界にきたら反復できる範囲でレップを継続する方法」と「はじめから1RM100%(1回だけ反復できる重量)~それ以上の負荷(通常のフォームでは1回も反復できない負荷)で可動域を限定して反復する方法」があります。

前者は、最後反復できなくなっても可動範囲だけでも完全に追い込むことで筋肥大に有効で、後者は最大筋力の向上(拳上重量アップ)に有効とされています。
最大筋力の向上(拳上重量アップ)は、より多くの筋繊維が動員されることによる神経的適応によるものであるとされています。
また、研究によるとパーシャルレップの実践により、筋の動きが伴わないアイソメトリック(等尺性収縮)の筋力が増加したということです。

より筋肥大の効果を高める

一般的な方法として追い込む場合を例にすると、ベンチプレスで10回を目標として反復している最中に、最後の2、3回(7~8レップ目)のところで限界がきたとすると、そこから動かせる範囲内で限界までレップを繰り返します。

パーシャルレップで動作する可動範囲は、一般的にはスティッキングポイントよりも上で動作させます。
ベンチプレスの場合は、肘の角度が約90度あるいは上腕が体と平行になる位置(個人差あり)よりも上の範囲内で動作させることになります。
つまり、バーベルをを挙げたところから、下10~15cm程度(個人差あり)の範囲内で動作します。

そのため、次に下ろしたらもう反復できないと思ったら、挙げたところからパーシャルレップで可動範囲を狭くして動作を継続することになります。
あるいは、反復できなくなったら、一度チーティングで挙げて(チーティングが使える種目の場合)、そこからパーシャルレップを行います。

なぜ、スティッキングポイントよりも上なのかというと、スティッキングポイントよりも下は一番動作が困難な可動範囲である事が挙げられます。
反復できなくなっている原因は、通常スティッキングポイントより下にありますので、すでに通常の反復ができなくなっている状況では、動作させようとしても必然的に無理なのです。
種目によってはわずかには動く場合もありますが、パーシャルレップ法で狙う効果を得ることは難しいでしょう。

なお、チーティングを使えば(使える種目の場合)反復できなくなっても動作できますが、意味合いが違ってきますので、ここではストリクトフォーム(いわゆる正しいフォーム)でパーシャルレップを行うことを前提としています。
上記で説明したようにチーティングを使うとしても、一度挙げるために使うのに留めた方がよいでしょう。

弱点可動域を強化する

高重量の負荷を用いてはじめからパーシャルレップを行う方法は、パーシャルレップの可動域内での最大筋力をより高めますので、動作の弱点可動域を強化する場合にも有効です。
この場合は、スティッキングポイントの上下に関係なく、弱点となっている可動範囲で動作させ、弱点範囲を強化します。

例えば、ベンチプレスで最後の絞り込みが弱点であれば、挙げにくくなるポイントから腕を伸ばしたところまでの範囲でパーシャルレップを行います。
逆にスティッキングポイントあたりが逆転であれば、スティッキングポイントの前後を可動範囲としてパーシャルレップを行います。

高重量を扱うため、うまく調節する必要がありますが、この方法を取り入れることで最大筋力がアップし、弱点を強化していくことができるかと思います。
フルレンジでの重量も伸ばして行けますので、通常の筋肥大トレーニングを取り入れた場合は、結果的に筋肥大にも効果を発揮します。

ウェイトの落下には注意

パーシャルレップで注意して欲しいのは、力のかけ方、入れ方が通常と違うため、パーシャルレップ中に力が抜けてウェイトが落下する危険があるということです。
そのため、初心者の方はトレーニング経験を積んだのち、実践するようにして下さい。

特にベンチプレス、ショルダープレスなど体の上や頭上にウェイトを挙げる種目は、神経を研ぎ澄まして注意を払う必要があります。

できれば上級者の方でもパートナーをつけて、万が一の時でも補助してもらえる体制をとることが望ましいと言えます。