ピリオダイゼーション(期分け)とは、トレーニングサイクルの中で、トレーニングプログラムに計画的、意図的な変化をもたせるための体系的な方法です。(この章ではピリオダイゼーションの線形・非線形モデルなどの解説は割愛します)


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概要と補足

トレーニングの効果を最大限に高めるには、”変化(バリエーション)”をつけることが重要であるとされており、目標や試合などに向けて期間ごとにトレーニングの量や強度(重量・反復回数・休息時間)、種目などに変化をつけます。

トレーニングに変化をつけずに進めた場合、効果が頭打ちしたり(プラトー・成長の停滞)、オーバートレーニングの危険性を招いたりと、十分な効果を得ることができなくなってしまうのです。

そのため、負荷を低減したり、刺激を変える期間を設けたりとトレーニングの内容を変化させることが重要となります。

ピリオダイゼーションの構成

ピリオダイゼーションにおけるトレーニングプログラムは、期間別にマクロサイクル、メゾサイクル、ミクロサイクルの3つのサイクルに分けられます

マクロサイクルはもっとも大きな区分で、目的(筋肥大・体脂肪減少など)や試合などの目標地点によって変わりますが、モチベーションや集中力の持続を考慮して、通常は6ヶ月~1年間を一つのサイクルとします。
オリンピック選手などは、4年間でマクロサイクルを組む場合もあります。

マクロサイクルは、通常2つ以上のメゾサイクルで構成されます。
1つのメゾサイクルは、通常2~8週間で構成され、そのメゾサイクルの数は、目的や目標によって変わります。

この期間は、筋肥大や筋力アップなどの目的に応じた効果を引き出すための期間で、長くなりすぎるとプラトー(成長の停滞)やオーバートレーニングが生じたりと、十分な効果を得ることができなくなってしまいます。

メゾサイクルの分類も目的や目標によって変わってきますが、筋肥大期、筋力向上期、筋力・パワー向上期、筋持久力向上期、準備期、試合期、積極的休養期などに分けられます。

アスリートにおいてのメゾサイクルの分類は、これらまたはこれら以外も含めて複雑に絡みますので、ここでは一般的な筋トレにおけるメゾサイクルの分類として、単純化して「筋肥大期、筋力期、筋持久力期」を構成要素とします。

さらにメゾサイクルは、1週間~4週間ミクロサイクルで構成され、日ごとや週ごとにトレーニングに変化が加えられます。

その変化としては、トレーニングの頻度、負荷・強度、分割法の組み合わせ変更、種目の変更、種目数の変更、種目順の変更、セットの組み方などが挙げられます。

また、過負荷の原理漸進性の原則に沿って(漸進的過負荷)、負荷・強度を連続的に増加させていく必要があります。

ただし、各メゾサイクル内ではレップ範囲、セット数は変化させず、重量を加えたり、休憩時間を短くしたり、種目を増やしたりすることで強度を高めていきます。(低強度日を設けた場合は、逆に落として回復を図ります)

なお、負荷・強度を連続的に増加させるといっても、前回のトレーニングから目に見えて筋力や筋肥大が起こることはありません。トレーニングの度に重量を上げていくようなことは、基本的にありませんので、注意して下さい。

例えば、筋肥大で8~12レップの範囲とした場合、前回のトレーニングでベンチプレスを50kgで10レップがギリギリできたとしたら、次は10レップをしっかりできるように意識して取り組むようにします。

10レップがしっかりできるようになったら、次は11レップを目指し、11~12レップできるようになったら、今度は重量を52.5kgなど少し増やして、また10レップで取り組みます。

これを繰り返していくことにより、同じレップでも扱える重量がアップし、筋量や筋力が向上していきます。
(筋トレ初心者の方がトレーニングを始めた場合は、開始4~8週間程度は筋肥大はほとんど起こりませんが、神経系の高まりから筋力が大きく向上していきます。そのため、この間は、重量を加えるペースは速いかも知れません)

トレーニングの効果を最大限に高めるためには、このようなサイクルを意識して、変化をもたせる必要があります。

ピリオダイゼーションの変化のつけ方や組み合わせは、目標や個人のレベルによって異なります。
状況に応じて、内容の調整が必要になってくることもあるでしょう。

一概に決められるものではありませんが、一般論として筋肥大を目標とした例を次に示します。

筋肥大を目標にしたピリオダイゼーション(期分け)の例

(あくまでマクロサイクルの期間、メゾサイクルやミクロサイクルの期間・順番は一例となります)

まずは、マクロサイクルとして6ヶ月~1年など目標に応じたの期間を決めます。
今回の例では、6ヶ月(約26週)をマイクロサイクルとします。

次にメゾサイクルとして、
(1)筋肥大期(中負荷・中回数)

(2)筋力向上期(高負荷・低回数)

(3)筋持久力向上期(低負荷・高回数)
に分けて、強度に変化をもたせることを計画します。

これら(1)~(3)に期間を設定します。
メゾサイクルは、あまり長くなり過ぎないように2~8週間の範囲内とします。

例えば、
筋肥大期・・・4週間
┗ 8~12レップで3~5セット、セット間の休憩を1分程度。
筋力向上期・・・4週間
┗ 筋力向上期は、3~8レップ(できれば5~6レップ)で3~5セット、セット間の休憩を3~5分。
筋持久力向上期・・・4週間
┗ 筋持久力向上期は、15~20レップで3~5セット、セット間の休憩を30秒~1分。
などとして期分けします。

筋持久力向上期が終わったら、また筋肥大期に戻ってサイクルを繰り返します。
1巡が12週間のプログラムなので、6ヶ月で2巡することになります。

なお、筋持久力向上期のあとに積極的休養期(1週間)として、筋持久力向上期よりもさらに強度を落とすか、筋トレとは関係ない運動を行うなどしてもいいでしょう。
肉体的、心理的により高い回復を図り、次のサイクルにつなげることができます。

ただ、今回の例で示したメゾサイクルでは、人によっては筋持久力向上期が積極的休養に当たる場合もありますので、体の状態を見定めて、別途積極的休養を入れるか判断する必要があるでしょう。

次に、メゾサイクルを1週間ごと(または日ごと)に区切り、ミクロサイクルとしてそれぞれのトレーニングの内容(頻度・メニューなど多岐に渡る)に変化を加えた形で構成します。

ちなみに、ミクロサイクルよりも小さいな単位は、セッションまたはワークアウトといい、単純に1回のトレーニングのことです。
1回のトレーニングには、複数の種目と休憩で構成されます。

変化をつけることの重要性を認識しよう

通常、一人一人にカスタマイズされたピリオダイゼーションを計画する場合は、指導者やトレーナーの助けが必要となりますので、自分で自宅やジムでトレーニングをされる方(特に初心者)は、変化をつけることの重要性を認識してもらえればと思います。

自分で計画したり、カスタマイズする場合は、トレーニング経験やその取り組み方が重要となります。

メゾサイクルは、4週間がいいのか、8週間がいいのか、休息期間はこれでいいのか、種目の選択や数、順番、休憩時間はこれでいいのかなど、判断する部分が多岐に渡ります。

これは簡単ではありませんが、経験を積んでいく過程で(完璧とは言わないまでも)自分で計画したり、カスタマイズができるようになってくるかと思います。

怪我や疲労(オーバートレーニング)には十分に注意を払う必要はありますが、まずは難しいことは考えず、期間ごとに変化をつけることを念頭にトレーニングを進めてみて下さい。

上記で説明したように大きく分けて4~8週間おきに筋肥大トレーニング、筋力向上トレーニング、筋持久力向上トレーニングのサイクルで構成するなど、できることを実行していくことが肉体だけでなく、経験値の向上にも寄与してくるものと思います。

期間に固執せず、疲労や体調によっては、潔く休むことも大切になってきます。

適切な休養はトレーニングの内ですし、休むことの判断もトレーニングライフにおいては経験値をアップさせます。
このくらいの量や強度、休息期間でやったら疲労が抜けにくい、痛みが出てくるなど、いろいろな自分特有のデータが蓄積されていきます。

または、例えば4週間のメゾサイクルで3週間目に疲れが抜けてない場合、4週目はレップは変えずに重量を落とすなど、ミクロサイクルの中身に変更を加えてもよいでしょう。

あらかじめ4週目(最後の週)は低強度の週としてメゾサイクルをプログラムするのもいいかも知れません。

マクロサイクルやメゾサイクルの期間は、体力レベルや向上スピードなど個人差がありますので、自分の体の状態を確認して判断する必要があります。

といっても、一度サイクルの一巡を経験しないと、結果的に何が良かったか、悪かったか、細かい点を判断することは難しいかも知れません。

そのため、疲労が抜けない、パフォーマンスが落ちたなど、何らかの悪影響を感じない限り、まずは計画した期間を継続するようにしましょう。

1巡の過程や結果で次のサイクルをどう組むとよいか、自分なりの判断ができるようになってくるかと思います。

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