自分の子供は走るのが遅いために運動やスポーツでパフォーマンスを発揮できないでいる。そんな親の方に向けて自宅(家・室内)でできる速く走るための指導方法とトレーニング法をご紹介します。速く走るためのトレーニングをしていなかった子は、ちょっとしたコツとトレーニングにより必ず速く走れるようにします。ぜひ、指導し、実践してみて下さい。 



速く走れるようになることで広がる可能性

家の中で子供さんのためにお父さん、お母さん方がアドバイスできるかけっこ(短距離走)を速くするための方法について説明したいと思います。

家の中でいったいどんなことができるのか疑問に思われる方もいるかも知れませんが、実は家の中で出来ることは非常にたくさんありまして、速く走るために必要なことはほとんどすべてのことを家の中で完結させることも可能になります。

なぜこのような話をしているかと言いますと、小学校の子どもたちに対して、野球やサッカー、バスケットボール、テニスなど、いろいろな競技種目を小学校の時から専門的にやっているような子たちが増えているのが実情です。

このことについての是非は置いておくことにして、お父さん、お母さん方が一つ懸念されていることの中に、例えば走るのが遅い子の場合、「うちの子は走るのが遅いからレギュラーになれない・・・、なかなか活躍できない」ということで気を病んでいる方がたくさんいらっしゃいます。

走るのが遅い子は、走るのが遅いというただその一つの理由だけで自分は運動が苦手なんだということでネガティブな意識を持ってしまうことも少なくありません。これは非常に馬鹿げた考えです。

普通のクラブチームやチームの中で運動を指導している人にとっては、その時点で教えなくてもある程度できるような子たち、走るのが速い、ボールを投げるのが上手、ボールを蹴らせたらうまい、こういった能力の高い子たちをメインに据えてゲームを作っていったりするわけで、あまりレベルが高くない子たちに対しては、それほど労力をかけて教えようという人たちは少ないです。

もちろん人員の問題もあります。教える人が少なくて子供さんたちがたくさんいる場合には、なかなか行き届いた指導ができないと言う物理的な問題もあるでしょう。

ところが、それをそのままにしておけば差が埋まるどころか、どんどん広がるばかりですし、みんなが同じことをやれば能力の高い子には絶対に追い付けないということが出てきます。

しかし、たった一つ、走るのを速くすることで子供さんたちの可能性は非常に大きく広がっていきます。

それを家庭の中で出来るということを説明しますので、ぜひ毎日の繰り返しの題材にしていただければと考えています。

速く走るための指導方法およびトレーニングの実際

まず、走るためにはそれが前に走るものであったり、横に動くものであったり、どういった方向性を持っていたとしても、今いるところから一歩でも早く出るということ、この反応の問題、それから繰り返し連続して脚を回転させ続けること、こういったことができなければいけなくなるわけです。

走るのが遅い子に共通していることは、どうしてもかかと重心になってしまっていて指先に力が入っていないということがあります。

そのために指をうまくコントロールする、そしてその指に力を持たせるということを必ず教えてあげる必要があります。しかし、どこのクラブやスポーツチームに行っても足の指を鍛えるような方法を教えているところは日本中どこにもありません。

ところが、それは家の中で可能になるわけです。

それでは、具体的に説明していきます。

足首を動かす。足の指に重心をかけるトレーニング

まず走るためには、走る、速く動かす、腕を振る、どんな方法であってもいいですが、頭の中である程度のことは考えて、末端に情報を伝えています。ということは、体の中心から末端に向けて命令がうまく伝わっていくということが必要になります。

そのための一つの方法として足首を動かすことが挙げられます。

足首を上下に動かします。指先を出来るだけ高く、出来るだけ下げるということをやらせた場合でも走るのが遅い子の場合にはこの簡単な作業ができません。

「上下に動かしてください」、もしくは「上と下に動かしてください」と伝えても、そのことが意味では分かっても動作で還元した場合にカタカナの“ノ”の字のような動きになってしまったり、くねくねと動いてしまったり、十分にコントロールできてない場合が非常にたくさんあります。

そうすると、そのような状態では絶対に速く走ることができません。ですから、これを繰り返し反復させてあげるわけです。親の立場としては見ているだけで結構です。ちゃんと真っ直ぐに動いているのか。

その時にやってはいけないことは、「動いていないじゃないか」、「そうじゃない」と厳しく教えるのではなく、それを観察することだけです。できればスマホなどで動画を撮って、いまこんな状態だよと見せてあげるだけで子供たちは自分で自覚をします。

まず正しい動きというのは、真っ直ぐに立ったときにつま先を上下に動かすという命令に従って正しく動かすことができるかどうかというのが第一段階です。

次にそれを出来るだけ速く動かすというのが第二段階。

今度はそれに手をたたくなどして刺激を与えて、音がしたら動かしてというような条件を設定していく。こういった事ができるようになるというのが、少しずつ段階を上げていく上でのステップとなります。

そうすると脳から伝わった命令を末端まで伝えるという神経の通り道が出来上がるイメージが徐々に徐々に作られていきます。

そうすることによって、たどたどしかった動きが非常に滑らかな動きになってくる。滑らかな動きになってきたら、今度はそこに力をつけていきます。柔らかくスムーズに動かすことができるようになったら、そこに力をつける。

力をつけるのは非常に簡単です。

指に体重をかけるだけ。真っ直ぐ立った状態から「体を前に倒してごらん」と言うだけです。

体重が前にかかると指は絶対に踏ん張らないといけないわけですね。踏ん張ることができなければ体は前に行ってしまいます。

でも、それはそれでいいのです。何秒我慢できるかなというゲーム感覚で子供さんにやらせることによって少しずつ強くなっていくわけです。

それから注意しなければいけないことがもう一つあります。

必ず家の中では裸足でやるということです。少なくともソックスを履くのであれば五本指のソックスを使うとよいでしょう。靴下の中、あるいは靴の中で指を固定してしまっては指を動かす感覚が身につきません。

ですから、必ず家の中では裸足で行うように条件を設定して下さい。

それを踏まえた上で効果が高いトレーニングをご紹介します。椅子を使ったトレーニング方法です。

速く走るための足指を強くするトレーニング

椅子の座面に手を置いて腕立て伏せの形を作ります。

小学生くらいの子供さんだと腰が反った状態になって体幹に力が入らなかったり、お尻を上げなさいというと股関節を曲げて上げないと支えられないというのが、最初の段階しばらくの間続きます。

これは段階として仕方がありません。継続して強くなれば徐々にコントロールできるようになります。まずは、完全系はこうだよということを見せてあげることが重要になります。その上で体幹を固定させる努力をします。

写真を見ると分かるように足の指は指先しか着いてないということが分かります。これが、かかとを床に近づけた状態だと指の力ではなく足首の柔軟性、言い換えると足首の硬さによってコントロールしているわけです。

これをかかとを上げて体重をグッと前にかけることによって足指だけで体重を支えることが可能になります。

特別なことを考えなくても正しい姿勢を取ることによって足指は強くなっていきます。

足指が強くなるというのは、自分の足に指というスパイクのピンをくっつけるようなものだと考えて下さい。そのことによって地面をしっかりとつかんで踏ん張ることができますから一歩目が速くなるというのは当たり前の原理なんですね。

この姿勢ができるようになったら次のステップとして、足を椅子の上に上げる、もしくはそこまで柔軟性が無い場合は足の甲を座面の裏にくっつける方法でトレーニングします。

体が柔らかい子の場合は椅子の上に引き合上げることも可能ですが、最初からここまでできる必要はありません。最初はグッと引き上げて座面に裏に脚の甲をくっつける動きを行ってみましょう。

このトレーニングはどういうことをやろうとしているのかというと、前方に速く進むときというのは必ず体は前傾姿勢になっています。体が立ったままいくら脚を速く動かしてもその場から一歩も進むことができません。

走るのが速い子と遅い子の決定的な違いは、スタートダッシュのタイミングの違い、スタートダッシュの姿勢の問題、ここが非常に大きいわけです。

速い子は例外なく体を前に倒すことができています。言い換えると体を前に倒す強さがあれば誰でも走れるということとほぼ同じことを意味しています。

従いまして、椅子を使うことによって体を前傾させて、その感覚を覚えさせること、その時に支えているのは足の指であるということ、これを体の中に染み込ませていくわけですね。

そして、さらにこの状態から膝を引き上げていく、つまり専門的には腸腰筋群を収縮させているわけですが、膝を高く上げるということがストライド(歩幅)を大きくすることに繋がってくるわけですね。

体を前傾させることによって膝を上げたらあとは重力に任せて下に下ろすだけです。体を斜めにした状態で足を下ろせば、その分体は前に進んでいくということになります。

非常に力学的なメカニズムなので理解も早いと思います。皆さんのお子さんがこの形をマスターすることによって必ず速く走れることができるようになりますし、いま目の前でやっていることですから間違いがあればそこで正すことができます。

体が歪んでいればそこを教えてあげればいいわけですし、お父様方、お母さま方が指導に自信がない場合は、それを動画に収めて本人に見せてあげれば、「どこがおかしいかな?」というふうにクイズ形式で問いかけることによって、お尻が上がっているとか、腰が反っているということを本人が理解ができて回答するようになります。

このようにして理解を深めていくことによって、スポーツの中で最も基本的な前方に速く走る、こういう能力を改善することができますので、ぜひ家の中でできることは短時間でも構いません、5分、10分でも構わないので、日々やっていただくことによって気が付いた時にはフィールドの中、体育館の中、こういったところで活躍できるお子様の姿を通して成長の証として必ず証明してくれるでしょう。

ぜひ、頑張って繰り返しトレーニングをして下さい。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部特別客員准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長

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