体幹トレーニングのメニューや方法には、初心者向けのアームスタンディングや今最もポピュラーなプランクなどがあります。しかし、効果を上げていくためには一般的な筋トレと同じように体幹を鍛える場合も強度を高めていくやり方を取り入れていく必要があります。そこで、今回はボディメイクやスポーツ動作を高めていく上で効果的なバリエーションをご紹介します。プランクなど基本種目が楽にできるようになったら、レベルアップ種目としてメニューに取り入れてみるとよいでしょう。



強度を上げて引き締まった体を作っていこう

体幹トレーニングの中では体を引き締める、体の軸を強くする、こういったところに最も主眼が置かれます。

しっかり体を支えなければいけませんので、腕や脚は強化していきながら引き締めていくことができます。

そして、その強くなった体を他の動きに応用していく、例えばスポーツに展開する、あるいは楽器の演奏で重たいギターを持たなければいけない、発声で大きな声を出す時に姿勢を良くしなければいけない、色々なところで使えていきますので、ぜひこれから紹介する体幹トレーニングのバリエーションを覚えて、日ごろの筋トレメニューに加えてみると良いと思います。

アームスタンディングのバリエーション

まずは、腕立ての姿勢をキープするアームスタンディングのバリエーションです。

アームスタンディングはプランクに属する種目でどなたでも取り入れることができる最もやりやすい体幹トレーニングです。

このアームスタンディングに変化を付けて強度を上げていきます。

アームスタンディングの姿勢をベースに体重を支える支点を両手と片脚で支える。そこに動作を加えることで発展させていきます。

ニーアップ

まずは、ニーアップという種目です。

ニーアップなので文字通り膝を引き上げる動作になりますが、最初は膝を引き上げた時に姿勢を維持することができずに足が床についてしますケースがよくあります。

足がついても構いませんが、脱力して膝関節に負担をかけないようにそこだけは注意して下さい。
支えている方の足首の位置はできるだけ90度のポジションをキープした状態で行うようにします。

まずは、体幹がそんなに強くない人の方法です。膝を引き上げたら、つま先を床に軽くついて強度を落とした方法になります。

片膝をできるだけ真っ直ぐに引き上げていく。脚は前でついて構いません。つま先が床にちょっと触れるくらい。触れたら脱力をしないで、体幹を維持したまま脚を元の位置に戻します。

強くなってきた場合には、伸ばした時(元の姿勢に戻った時)の足を付かない、そして膝を引き上げた時も持ち上げた状態をキープします(つま先をつけない)。動作の間、片脚は宙に浮かした状態で行います。

アームスタンディングの姿勢から片脚を浮かして膝を引き上げます(胸の方に引き付ける形)。この動作を繰り返します。

膝を引き付けていくときには、骨盤が少し前方に回転していきます。その場合、腰の骨の部分(腰椎)が少し丸くなりますが、そこは構いません。

できるだけ軸足の膝を真っ直ぐに伸ばしたまま、引き上げる方の膝を体の中心線に向かって真っすぐ持ち上げるというのがポイントになります。

よく起こる間違いは、股関節が硬いために膝を真っ直ぐに引き上げていかないといけないところが外側に開いてしまうケースがあるということです。

高く引き上げるということだけが頭にある場合には、膝のコースを外側にはずしてしまうこともありますので、膝の位置は必ず自分の体の中心線に向かって上がっていくようにする、そこを意識して下さい。

そして、正しい動作で左右同じように行います。

クロスタッチ

ニーアップができるようになってきたら、さらに今度は外腹斜筋と内腹斜筋、体をひねる動きに負荷をかけていくために少しひねりを入れてみます。

支えている前方の肘に対角線側の膝を近づけていく動きになります。

膝を引き付けていき、対角線にある肘に膝を近づけていきます(あるいは肘につける)。腰をひねっていきながら肘に近づける動きですね。

上半身は床を支えていますので、胴体(胸)は床に対して平行を保つようにします。動作中は常に床に対して真っ直ぐに向けておくんですね。

ところが、下半身は膝を肘につけていかなければいけませんので、腰にはねじりが入ることになります。

上半身は床を支えていて、おへそのあたりからは壁に向かう形でひねりが入るわけですね。そこを意識してしっかりとひねっていくことが大切です。

この種目を行うことによって回転していく側(動作する方の脚側)のわき腹が非常に強く収縮します。

ウエストを細く引き締めていきたい方、それから競技スポーツに応用して体をひねる強さを高めたい方、こういう方には非常に有効なトレーニングになります。

よくおきる間違いとしては柔軟性や筋力が足りないために膝を高く引き上げようとした時にごまかしてバネを使ってしまうことです。つまり、瞬発力を使って動作してしまうんですね。

これは股関節部分の腸腰筋というところをうまく使って行っていますが、これではほとんど体幹部に刺激を加えることができません。

従って、バネを使ってピョンピョン繰り返すようなトレーニングをいくらやっても体幹はそれほど強くなりませんので注意が必要になります。

勢いを使わずにゆっくりとググッと体をしっかりねじっていく。そこの部分を特に意識して行って下さい。

効果を高めるには、膝と肘が触れるところまでひねったところで一瞬止める。ほんのちょっと止めることによっておへそ周辺の筋肉の収縮は極端に強くなります。これをバネを使って一気にポンと弾ませるようにしてしまうとほとんどストレスがかかりません。つまり、それほど強くならないということです。

体幹トレーニングの最大のメリットというのは、自分の体の長さ、そして体の重さをトレーニングの負荷としている部分ですので、せっかくその負荷を使うわけですからバネを使ってごまかしてしまうと非常にもったいないです。

もし、10秒間行うとした場合にバネを使ってテクニックで運動を楽にしながら10秒間行うのと、しっかりとどこも脱力をせずに自分の力で十分な動きを作っていくのとでは、同じ10秒でも使い方が変わってきます。

ぜひ、トレーニングとしては筋トレ効果が最大に出るようなやり方を優先して行っていって下さい。

これらの動作が正しくしっかりとできるようになってきた場合、ひねった時に膝と肘をつけて止めることができるようになった場合、その時はじめてバネを使った爆発的な動きを作っていきます。

インサイドキック

クロスタッチは膝をしっかりと体の内側に通していって体幹をねじる動きを作っていきましたが、これがうまくできるようになってきたら今度はそこに伸ばす動きを入れていきます。そうすることによって少しバネが有効に働く段階に入っていきます。

まずは基本的にはクロスタッチと同じように膝を肘に向かって高く引き上げていくところまでは同じです。

そこから今度は、脚を体の下を通って内側に振っていく動作に移行します。

ここでは勢いを使っていますが、長さが長くなった分テコが大きく働きますので瞬発力を使ってもウエストの部分にしっかりと刺激が入ります。

ですから、膝を曲げた状態と膝を伸ばしてキックを入れる場合とで少し使い分けをしてあげると良いと思います。

どちらも試したら自分のウエスト部分にどのような力が加わっているというのは体感ができますので、ぜひそれを体験してみて効き方を確認した状態で応用してみて下さい。

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筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長