ディップスは、大胸筋の下部を効率的に鍛えることができる筋トレ種目です。胸を全体的にバランス良く鍛える上で、ぜひ取り入れたい種目の一つです。正しい方法を習得して、引き締まったかっこいい胸を作っていきましょう。一見似ている「リバースプッシュアップ」との違いについても解説します。



自宅でできるディップスのやり方

胸の筋肉を発達させるためには、いろいろな種目がありますが、注意しなければいけないのは胸の筋肉は左右それぞれ扇形のように付いているということです。非常にボリュームのある筋肉なので、1つの種目だけで効率よくまんべなく鍛えるのはなかなか難しいわけですね。

胸のトレーニングで基本になる種目はあくまでプッシュアップ(腕立て伏せ)になりますが、プッシュアップが十分にこなせるようになれば、いろいろなバリエーションで運動強を上げていきながら全体のバランスを取っていくのが望ましいと思われます。

今回は、胸(大胸筋)の下の方をトレーニングするための種目としてディップスという種目をご紹介します。

ディップス

まずは、安定した椅子を2つ用意して下さい。体の幅よりも少し広めの間隔になるように椅子を配置します。

椅子と椅子の間に体を入れ、椅子の上に両手を置きます。手で体を支えるようにして、脚が宙ぶらりんの形になるように姿勢をとります。筋力足りない場合は、足は付いていても構いません。(ただし、つま先が触れる程度に留める)

基本は、脚を浮かした状態とし、その姿勢から肘の曲げ伸ばしを行っていきます。肘を曲げると体が沈み込んでいくわけですが、膝が床に着く寸前まで下ろしたら、動作を切り替えて肘を伸ばすようにします。元の姿勢に戻ったら、同様に反復を繰り返していきます。

ディップスのポイント

肘の曲げ伸ばしが一番大きな動きになるわけですが、そのとき胸の筋肉はどうのようにして訓練されているのかと言うと、できるだけ伸ばしたところから縮めたところのストロークの幅が大きい方がまんべんなく鍛えることができます。

ただ、下げる方(肘を曲げる局面)に関してはわりとストレッチがしやすいのですが、難しいのはフィニッシュに向かって筋肉を縮めるとき(肘を伸ばす局面)の動きです。

肩の位置をグッと下げることができなければ大胸筋を十分に収縮されることができません。

従いまして、ディップスを行うときには最初の入り口の段階として、自分の体重を肘を伸ばしたまま上に持ち上げることができなければいけません。

肘の曲げ伸ばしをせずに、伸ばしたままさらにそこから肩を下げることによって大胸筋の収縮を起こしていきます。椅子の座面を下に押すことによって体を上に持ち上げていくんですね。

非常に大切な動作ですので、まずはこの動作を行って感覚を身に付けるようにしてみましょう。十分に可動域をとることができるようになってきたら、次第に肘を曲げるディップス動作を行いストロークを増やしてあげるとよいでしょう。

また、肘を伸ばし切った時のフィニッシュで、できるだけ高いところに体を持ち上げるようにして下さい。そうすることで、大胸筋の最大収縮を起こすことが可能になります。

初心者向けの「ディップス」について

通常のディップスが強度が高くて、なかなかできないといった方のための負荷を下げた形で行うやり方をご紹介します。

自宅でできるディップスは左右に椅子を置き、手で体を支えるようにして肘の曲げ伸ばしを行っていくトレーニングであることは上述した通りです。

通常のディップスのように完全に体重を支えてしまうと、腕や肩に負担がかかってしまいます。そのため、体力が低い方の場合、完全に動作するのが難しいケースもあります。

そこで、これだけの負荷をかけるのはすぐにできないといった方の場合には、まずは負荷を下げた方法でトレーニングし、体力が付いてきたら通常のディップスに移行する方法を取ることで無理なく体力アップを図っていくことができるでしょう。

負荷を低減させたディップスの方法

方法は簡単です。

左右の椅子に手をつくところまでは同じですが、脚を体の下に置いて宙ぶらりんにするのではなく、脚を前に出して行います。

これにより、下半身の重さが減免された状態が作り出されます。脚を前に出す以外は、動作は同じになります。脇は開くようにして動作して下さい。

トレーニングに慣れ、体力が付いてきたら通常のディップスにチャレンジし、さらに体力アップを図っていきましょう。

ディップス(大胸筋下部)とリバースプッシュアップ(上腕三頭筋)の違い

初心者向けのディップス(初心者向けの脚を前に出して行うディップス)と良く似たリバースプッシュアップの違いについてポイントを説明します。
※動作形態からリバースプッシュアップもディップスと呼ばれる場合があります。ここでは説明上区別しています。

初心者向けディップスについては、左右に椅子を置いて両手を別々について動作します。このようにすることで胸の下部を効率的に鍛えることができます。

一方、リバースプッシュアップは、鍛えられる筋肉に違いがあります。リバースプッシュアップは上腕三頭筋(二の腕)をメインに鍛える種目になります。

方法については、1つの椅子に手をついてもう一方の椅子に足を乗せて行います。(脚を乗せずに床に付けて負荷を低減させて行う方法もあります)

脇を締めて椅子に手を付いたら、脚の先に配置した椅子に足を乗せます。ディップスでは、脇を開いて左右の椅子に手をつく形でしたね。この点で大きな違いが出てきます。

また、ディップスが体の真横に腕が位置するのに対して、リバースプッシュアップは体の後ろに腕が位置します。

手を置く広さにについても、ディップスが広めに開くのに対して、リバースプッシュアップは狭くして置く形を取ります。この点で、おのずと広めにとると脇は開かれ、狭くすると閉じられることになります。

この違いにより、肘の動きにも違いが出てきます。

胸を強化するディップスの場合は、肘が体から離れていく動きになります。外側、横に開く動きですね。このように脇を開いて肘を離していくことで大胸筋をメインで刺激することができます。脇を開くことに関しては、ダンベルプレスなどの胸を鍛える種目と同じになります。

一方、リバースプッシュアップの場合は、肘が体の後ろの方に位置する(後ろに向かう形)ことになります。このように脇を締めて体から離さないようにすることで上腕三頭筋に刺激を集中させることができます。脇を締めることに関しては、上腕三頭筋をメインで鍛えるナロープッシュアップと同様になります。

このような使い分けを知識として持っておくことは筋トレの応用力やメニュー作成、トレーニングの質を向上させます。ぜひ覚えておいてください。

ディップスの目標回数(時間)と頻度

  • 【回数】60秒×1~3セット
    ※続けて行うことができない場合は、10秒を6回に分けて行ってもOK
    ※セット間の休憩は60秒
  • 【頻度】1~2日おき
    ※疲労度に応じて調節する
    ※場合によってはもっと空ける

【関連リンク】

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長