ソファーを使って腹直筋の下部、いわゆる下腹(下腹部)を鍛えることができる「ニートゥーチェスト with ソファー」の方法を実演・解説します。ソファー以外にもベッドや椅子を使って実施できます。特別な道具を必要とせずに手軽にできるので、下腹部が気になる人はぜひ試して下さい。



鍛えられる筋肉

第1ターゲット ・・・ 腹筋下部 腸腰筋
※腸腰筋=腸骨筋、大腰筋、小腰筋から構成される腹部の深い位置にある筋肉・インナーマッスルの一つ。

ニートゥーチェスト with ソファーのやり方

通常のニートゥーチェストは床の上で行いますが、「ニートゥーチェスト with ソファー」はその名の通りソファーの上で行います。

床とソファーの違いは、ソファーには高さがあることです。

この違いは何を表しているのかと言うと、脚を伸ばした時のポジションにあります。

床の上で脚を伸ばしていくと、床が制限となって足(かかと)はお尻よりも下に下ろすことができません。

しかし、ソファーなど高さがあるポジションから動作すると、脚を伸ばした時にお尻よりも下まで足を下ろすことができます。

このことから、トレーニングの直接的な有効性としては下腹部に対する刺激の増大です。

なぜなら、ニートゥーチェストの場合、筋肉に対する負荷が最も大きくなるポジションは、脚が床と平行になった地点だからです。
その時、下腹部への刺激は(物理学的に)MAXとなり、効果的なトレーニングが実現できると言えます。(あくまでニートゥーチェストの場合です)

床の上で行った場合、床ギリギリまで脚を下ろして”かかと”を床に付けずに反復を繰り返すわけですが、床と平行になっていようで平行ではないんですね。
”平行近く”にはなっていても、僅かに傾きが生じていることになります。

もちろん、床で行う場合は、かかとを床に付けず筋肉の緊張を保ったまま反復する方法が正しいやり方であり、最も効果的な方法です。

しかし、完全に床と平行、もしくは僅かにお尻よりも下に下ろすことができれば、さらに刺激を高めることができるもの事実です。

そこで、刺激を強くして効果を高めたいときに用いることができる種目が、ソファーを使ったニートゥーチェスト(ニートゥーチェスト with ソファー)なのです。

今回はソファーで行っていますが、ソファーに限らずベッドや椅子など高さがあり安定したものであれば、どのようなものでも行うことができます。

  1. ソファーの先端付近に座り、手で体を支え、脚を伸ばします。これがスタートポジションになります。
    脚は床と平行、またはそれよりも僅かに下に下ろしておきます。
  2. 膝を曲げて、膝を胸の方へ引き寄せていきます。同時に上体も丸めるようにします。これがフィニッシュポジションになります。
  3. フィニッシュポジションで1秒ほど腹直筋を強く刺激した状態を保ちます。腹部をギュッと締めるイメージで。
  4. 逆の軌道をたどって、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
  5. 1~4を所定の回数反復します。

動画のように脚を真っ直ぐに伸ばす形が最も負荷が高くなります。

一方、脚を伸ばしていく途中で膝を伸ばし切らず、途中で止めてやや曲げた形(”へ”の字のように)で下ろすようにすると負荷が低くなります。
この場合、途中から膝関節の動作は終了し、股関節の動作のみとなります。(伸ばし切る場合は、膝関節と股関節がほぼ同時に動作が終了)
下ろすポジションについては、脚が床と平行ではなく”太ももが床と平行”になるまで下ろすようにします。

これは床の上で行う場合にも適用できますが、この場合は太ももを床と平行にできませんので、”かかと”が床に触れる寸前まで下ろして反復する形を取ります。

どちらで行うかは、現在の体力から判断して選択します。

脚を伸ばして行う方法で行ってみたところ強度が高く、うまく反復できなかったり、正確なフォームを保つことができない場合は、膝を曲げる方法で行うようにします。

膝を曲げる方法で体力がついてきたり、もとよりある程度体力、筋力がある場合は、脚を伸ばす方法を取り入れるようにします。

取り入れ方(タイミング)

床で行うニートゥーチェストが楽にできるようになったら、負荷を高めるべくソファーやベッド、椅子を使って行うようにします。

ある程度腹筋を強化しているなら、最初から取り入れてもよいでしょう。

他の種目との関連で言えば、ソファーなどで行うニートゥーチェストが楽にできるようになったら、下腹部を集中的に鍛えられるレッグレイズに移行する方法もあります。

レッグレイズは、自重で下腹部を鍛える方法の中でも最も強度が高い種目のひとつです。
自宅トレーニングなど、自重に限定して下腹部を強化したい場合は、体力に応じてレッグレイズを最終形として取り入れるか、当初よりレッグレイズを取り入れるようにします。

また、レッグレイズも膝を曲げたまま行うことで負荷を軽くすることができます。

これらを勘案して、体力が低い場合を想定した取り入れ方の一例を示すと以下のようになります。

体力に合わせて強度を高めていく下腹部トレーニングのパターン

  1. 床の上で行うニートゥーチェスト(膝を曲げで行う方法)
  2. 床の上で行うニートゥーチェスト(膝を伸ばして行う方法)
  3. ソファーなどの上で行うニートゥーチェスト(膝を曲げで行う方法)
  4. ソファーなどの上で行うニートゥーチェスト(膝を伸ばして行う方法)
  5. レッグレイズ(膝を曲げたまま行う方法)
  6. レッグレイズ(膝を伸ばしたまま行う方法)

体力に自信ない人など、順を追って下腹部トレーニングを進めていきたい場合は、このような順番でトレーニングしていくとよいでしょう。

体力の付き方は個人差がありますので、正しいフォームを習得した上で楽にできるようになったら、次の段階(種目)に進む形をとると、無理のない範囲で下腹部を強化していくことができます。

目標回数と頻度

  • 【回数】10回×3セット
    ※セット間の休憩は30~60秒。
    ※体力が付いてきたら限界まで反復するようにします。
    ※セット数は、体力アップに応じて5セットまで増やすようにします。
  • 【頻度】毎日~1日おき
    ※疲労度に応じて調節する
    ※場合によってはもっと空ける