季節を問わず、冷え所に悩む方は多くいますが、なかなか改善できずにキンキンに冷えた手足と格闘することを余儀なくされている現状があります。そこで今回は冷え性を改善する方法として靴下を二枚重ねにするななどの外的な部分からではなく、我が身を使って行う内的対処法として筋トレによる改善策について実演を交えて解説していきます。ぜひ実践して、効果のほどを確かめてみて下さい。



悩ましい冷え性・・・改善・解消策はあるのか?

男性にはあまりいらっしゃらないかも知れませんが、女性は体が冷えることに悩みを抱えている方が多いようです。

私のジム(森部先生のジム)にも多くの女性の会員がいらっしゃいますが、手足が冷える方は多くいます。ひどい方になると、お風呂に入っていて体が十分温まっているはずなのに、髪を乾かしている最中に足が冷たくなってしまう方もいます。これには季節感が伴って、冬場になると著しいということで本当に困っている方がいらっしゃいます。

その方々がどのような対策を立てているかと言うと、寝る時に靴下を二枚重ねにして履いたり、いつも体を温めておくために冷たいものを飲まないようにするなどされています。

その方々にどのようにアドバイスするのかと言うと、筋トレによる改善を勧めています。

足の指にアプローチ

冷え性は、手や足の指先が冷たくなってしまって、熱感を伴わない、温かい感覚がなかなか得られないといったことで自覚ができます。

よく運動をすると体が温まって血行が良くなるからということで、ランニングをする方もいます。やっているときは温まっていますが、その時は指先の冷たさが分からなくなっているだけだったりしますし、運動を終えて汗が引いてきた時点では、瞬く間に足先が冷たくなってきたり、ストレッチをする段階になると足が冷えてしまっているといった方は非常にたくさんいます。

これをどのように解決していくのかと言うと、足の指先に目を向ける必要があります。

どういうことかと言うと、全身を動かしているような運動のときは心臓から血液がどんどん送り出されて全身を駆け巡っていますが、そもそも冷え性になっている方は、末梢の血管の中の血流が落ちている状態になっているわけですね。血液は流れやすいところにはたくさんいきますが、流れにくいところにはなかなかいかないわけです。

特に指先になると、毛細血管が非常に細くなっていますし、男性に比べて女性は骨格筋の量が少ない、それから血管も細い。こういった事が合わさって、おそらく冷え性の体質になっていくのではないかと考えられます。

日常生活の中でも気を付けないことはたくさんあると思います。例えば、食事の習慣や食べる内容など気を付けなければいけないことはあると思います。その部分は別の機会にお話しするとして、今回は運動によって解決できないのかというところでのアプローチとなります。

今回ご紹介する解決策は筋トレになりますが、冷え性に悩んでいる女性の多くは筋トレをするとどうしても筋肉がムキムキになってしまうんじゃないか、余計な筋肉はつけたくないとか、そういう筋トレに対して思考を抑制するような方向にどうしてもマインドが移行していしまっているところがありますので、そこの部分を改善することがまずは必要になってきます。

筋トレをやってみようと思った時点でアドバンテージが高くなっていますので、その機会を逃さずに簡単にできるところから始めてみて下さい。おもい重さを使ったり、歯を食いしばらなくてもできるような運動によって改善ができますので、その点についてご紹介したいと思います。

筋トレによる冷え性改善の方法

椅子を使って足の指に負荷をかけていくトレーニングです。

通常、座っている時には鎖骨の2点で体を支えていて、お尻が軸になっています。このお尻で支えている軸の部分を足の指先に移して支点を変えてあげます。

方法は、両手で椅子の座面をしっかりとつかんで、肘を伸ばして腰を持ち上げます。同時にかかとも浮かします。できれば拇指球(母子球)を着かずに指の腹だけを着いてかかとを少し浮かすようにします。

あまり高く持ち上げてしまうと骨格の構造上、指先から拇指球の部分に支点が下がってきますので、高く上げ過ぎずほんの少し浮かしたら、足の指でピアノの鍵盤をグッと押さえる感じで力を入れます。

これだけだと負荷を手で支えてしまっていますので、足の指をもっと運動に参加させるために片脚を浮かして、浮かした脚を上下させます。

片脚ずつ行う方法もあれば、交互にウオーキングをするように行うことも可能です。

もっと負荷を上げたければ、片脚を前方に伸ばしてキープする方法もあります。慣れてきたら、伸ばした脚を膝を伸ばしたまま上下させたり、回したり、あるいは膝を曲げて伸ばすようなアレンジを加えることができます。

このようにすることで、全身の筋肉にしっかりと負荷をかけながら、それでいて足の指をトレーニングに参加させることができます。

どうして足の指に負荷をかけるのかと言うと、負荷がかかっているところは必ず血行が起きるからです。

指に負荷をかけることによって、指自体が筋トレを行っていることになります。

腕の筋肉だと分かりやすいのですが、例えばダンベルを持って肘を屈曲させていくと上腕二頭筋はパンパンに張ってきます。これは血液がたくさん流れ込んできてパンプアップ現象が起きるからです。この血液の集中状態というのは全身どの筋肉にも起こすことができます。

従って、その部分を使えば血液を流し込めるわけですね。

もし、上述した筋トレで肘を伸ばして体を支えることができない人は、椅子に腰かけた状態のまま足の指に負荷を加える方法から始めてもよいでしょう。

その場合は、太ももの上に前腕を置き、体を預けた状態にして、足の指だけでかかとの上げ下ろしをすることで負荷を加えることができます。上半身をどれだけ預けるかによって負荷を細かく調節することもできます。

このようにすることで瞬時に血液が流れるようになってきますので、これが冷え性の改善に非常に有効になってきます。

血液は温度が高いです。温度が高いものを心臓のポンプ作用を使いながら、筋肉のポンプ作用をさらに付加して末梢まで血液を送り込みます。温かい血液を指先まで届けることとよって冷え性を改善していきます。

このようにすることで瞬く間に体が温まってくるのを感じることができます。その時にはランニングなどで得られるような全身が何となく温かいというだけでなく、指先の冷たさが一切頭から吹き飛んでしまうくらい運動の効果を出すことができます。

これ以外の方法としては、椅子を正面にして座面に手をつき、腕立ての姿勢を作ります。そうすると足は指先にしかついていない状態になります。

腰を曲げてお尻を上げてしまうと指よりも拇指球に体重がかかってしまいますので、できるだけ脚を遠くに伸ばし、下半身は指先だけで支えている状態を作ります。(頭からかかとまで一直線になる形)

この姿勢から片脚を上げる、片膝の曲げ伸ばしするなどいくつかのバリエーションを組み合わせることで、足の指をトレーニングするときの一番重要な支点にしてあげるわけです。そのことによって、冷え性は効率よく解消することができます。

これらを習慣化して、毎日行うことによって冷え性からは一気に解放されていきます。足の指を使うことによって姿勢もよくなっていきます。

どうしてもトレーニングの時間を捻出できない場合は、特にオフィスワーカーの方だと仕事中でも机の下で足の指だけを使うトレーニングが可能になります。机の上では作業をしながら足の指先だけを着いた状態で足裏を浮かしておく。そのことによって足の指先まで血行がいきますし、かかと浮かすことで足首が引き締まってくる効果も得ることができます。

このように足の指をトレーニングすることで複合的に効果が得られますので、ぜひ習慣にして効果を実感して下さい。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長