腕立て伏せをサポートする「プッシュアップバー」を使って効果的にトレーニングする方法を実演・解説します。腕立て伏せは、大胸筋を鍛える自重トレーニングの王道でもあり、ベーシックな種目です。ただ、自重であるがゆえに効果が頭打ちしてしまうことも少なくありません。そこで、今回は効果を高め、限界を突破する方法としてプッシュアップバーを活用した筋トレ方法をご紹介します。 



目標回数と頻度

  • 【回数】10回×3セット
    ※セット数は、体力アップに応じて5セットまで増やすようにします。
  • 【頻度】1~2日おき
    ※疲労度に応じて調節する
    ※場合によってはもっと空ける

プッシュアップバーをお持ちでない方はこちら

可動域を高めて大胸筋をより刺激しよう

 自重で行う腕立て伏せは、肩関節の内転という大胸筋を鍛えるためには理にかなった動作を行うことができます。ただ、細かい負荷の調節ができないことはもとより、可動域に制限がでることが断点です。

腕立て伏せにおける可動域の制限は、大胸筋の伸張性収縮(筋肉が伸びながら収縮すること)で十分な刺激を与えることができません。筋トレにおける伸張性収縮を意識することの重要性は研究報告などから周知の事実となっています。特に筋肥大を図る上では、肥大の一因である筋損傷が促されることが分かっており、ターゲットとする筋肉に過負荷を掛けて、十分に伸ばせるか否かが、その後の成果に大きな影響を与えることになります。

腕立て伏せで伸張性収縮が起こる局面は、肘を曲げて体を床に近づけていく際に起こります。下ろしていけばいくほど、大胸筋は伸びていきます。ただ、腕立て伏せでは床が障害となり、自ずと下ろせる位置に制限がかかり、自分が持てる100%の可動域で動作することができません。

その制限を取り除くために活用できるのがプッシュアップバーです。負荷の調節が難しい自重トレーニングですが、制限を取り除き、可動域を広げることで効果や成長を促進しようというのがプッシュアップバーを使った腕立て伏せなのです。

腕立て伏せをしているけど効果が止まってしまった、効果が出ているのかどうかわからない、そのような人は、ぜひプッシュアップバーを使った腕立て伏せで限界を突破して下さい。これまでと違った刺激が得られ、筋肥大やさらなる引き締め効果を感じることができることでしょう。

プッシュアップバーを使ったトレーニングの対象

ここで紹介する方法は、脚を伸ばして行う腕立て伏せを基本フォームとして解説しています。そのため、プッシュアップバーの効果を十分に得ようとする場合は、ある程度体力があり、通常の腕立て伏せで顎が床に付くくらいにしっかりと下ろすことができる人が対象となります。

女性や体力が低い人で体を深く下ろすことができない人は、まずは浅く下ろす方法からスタートしてみて下さい。方法は、腕立て伏せのスタートポジションから自分ができる範囲で肘を少しだけ曲げるやり方です。体力アップに従い徐々に肘を曲げる角度を大きくしていくことで、いずれ通常の腕立て伏せができるようになります。通常の腕立て伏せができるようになってトレーニングを進めていくと、一般的には成長が停滞したり、効果を感じにくくなる時期がきますので、その時にプッシュアップバーを使った方法にステップアップするとよいでしょう。

可動域拡大以外のプッシュアップバーを使うことによるメリット

プッシュアップバーには、可動域を広げること以外にもメリットがあります。

一つが手首への負担軽減です。

腕立て伏せのポジションは手首を反った形で体を支え、その状態を保持して動作を繰り返します。そのため、手首に過度な負担がかかってしまうのが、腕立て伏せの大きなデメリットです。

その負担を軽減できるのがプッシュアップバーです。バーを握り、手首を伸ばして使うため、手首の反りが最小限に抑えられます。また、握ることでガッチリ手首を固定するでき、しっかりサポートすることができるのです。それにより手首の痛みが抑えられ、トレーニングに集中することができますし、関節の障害予防にも繋がります。

二つ目は、前腕の引き締め・強化、それに伴う握力アップに効果的である事が挙げられます。

プッシュアップバーによる腕立て伏せは、動作中にバーを強く握って行う必要があり、それにより前腕に強いアイソメトリック収縮が起こります。これは手を広げて行う通常の腕立て伏せでは見られない刺激をもたらし、前腕が強化されます。その副産物として、握力がアップすることになります。つまりは、プッシュアップバーを使うことで、より多くの筋群が動員され、トレーニング効果は複合的に高まりを見せることになります。この点で体力アップとしても多くの恩恵をもたらしてくれるでしょう。

以上のようなメリットを加味して考えると、女性や体力の低い人が浅く下ろす方法からはじめる場合でもプッシュアップバーを用いることは、手首の安定・障害防止、筋繊維の動員力向上などにおいて有効であると言えるでしょう。選択に迷った場合は、まず通常の腕立て伏せを行い、その際手首に違和感があったり、痛みが出る場合にプッシュアップバーを使うようにするとよいでしょう。

プッシュアップバーを使った腕立て伏せの方法

  1. まずは、肩幅よりも広めの位置にバーを置きます。
    肩幅もしくは狭く置くと、通常の腕立て伏せと同じように大胸筋ではなく、上腕三頭筋メインになるので注意して下さい。
  2. バーを握ったら、脚を伸ばして腕立て伏せの姿勢をとります。これがスタートポジションになります。
    この時、肩の延長線上にバーがくるようにします。中上級者など、刺激に変化を持たせる場合はいいですが、初心者では肩が前や後ろに傾くことで肩や手首への負担が増すので、基本姿勢で行うようにしましょう。また、前後に傾くと床の材質によってはバーが滑ってうまくできない場合があります。怪我に繋がる恐れもあるでしょう。
  3. スタートポジションから、肘を外側に向け広げるようにして体を下ろしていきます。自分の柔軟性に従って、下ろせるところまで下ろしていきます。最低でもバーよりも下に下ろすようにしましょう。そうすることで、バーのメリットを生かすことができます。
  4. 限界まで下ろしたら、バーを床にめり込ませるイメージで強く押しながら体を上げていきます。
  5. ここまでの動作を繰り返します。最初は10回×1セット、慣れてきたら3セットまで増やしていきます。体力が付いてもっと増やしたい場合は、最大5セットまで増やしてもよいでしょう。

注意点としては、バーが滑らないように床にしっかりと固定しておくことです。上記でも説明しましたが、重心が前後に傾くとバーが滑る恐れがあり、怪我の危険性も高まります。そのため、床の材質にも目を向けて滑りにくいところで行うようにします。ポジションについては肩の真下に重心を置くことを心がけて行うことが大切です。中上級者があえて前後にズラして刺激を変える場合は、滑りやすい材質の床で行うことは禁忌です。グリップ力が強い床か、摩擦力が強いマットの上で行うようにして下さい。

また、反復中にお腹が落ちてこないように注意して下さい。疲れてくると、腰が反ってお腹が垂れてくる傾向にあります。その場合、お腹が床に付いたら1回とカウントしてしまうことになり、動作範囲が狭くなってしまいます。これではバーを使った可動域拡大のメリットを全く生かすことができませんし、腰を反ると、腰への負担が増して痛める可能性がある事も忘れてはいけません。

はじめからフルスロットルで筋トレを進める必要はありません。まずは正しい動作を習得することがとても大切です。フォームを確認しながら丁寧にトレーニングを進めていきましょう。

筋トレは、正しい動作で継続していくことで必ず効果がでます。もちろん、栄養と休養と加えた三本柱が大切であることは言うまでもありませんが、トレーニングの質が伴わなければいくら栄養と休養がベストな状態でも思ったような効果は得られません。

あなたが人に教える時にどのようにして教えるか、どうやったら正しい動作、怪我をしない動作を身に付けてもらえるか、もう一人の自分を想定して、客観的な意識を自分に向けることで完璧なフォームの習得に努めていきましょう。

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